ウイスカの原因はメッキ不良ではない… 薄膜工程が必然的に抱える残留応力の正体

エレクトロニクス

ウイスカが発生すると、原因として最初に疑われるのがメッキ工程です。

「メッキ品質が悪かったのではないか」「業者の管理が甘かったのではないか」といった指摘は、現場で繰り返されてきました。しかしセミナーでは、その見方自体が問題の本質を見誤らせると整理されています。メッキがウイスカの温床になりやすいのは、管理不良ではなく、工程の性質そのものに理由があります。

セミナーでは、メッキは数ミクロンという極めて薄い膜を形成する工程である点が強調されています。この薄膜は、形成される過程で結晶格子の歪みを避けることができず、結果として残留応力、特に圧縮応力を内包します。これは条件が悪いから生じるのではなく、薄膜を形成するという行為そのものに伴う必然的な現象です。

さらに、時間の経過とともに進行する下地との界面反応が問題を複雑にすると説明されています。メッキ層と下地金属の間で金属間化合物が成長すると、体積変化が生じ、メッキ層は内側から押し上げられます。この過程で、初期には問題が見えなかった部品にも、徐々に応力が蓄積されていきます。

ここで重要なのは、後工程の検査ではこの残留応力を直接確認できないという点です。外観検査や電気特性検査で合格しても、内部にどれだけの応力が溜まっているかは分かりません。セミナーでは、この理由からメッキが多くの業界で「特殊工程」と位置づけられていると説明されています。完成品検査だけでは品質を保証できない工程だからです。

よくある誤解は、「条件を詰めればウイスカは完全に防げる」という期待です。しかしセミナーでは、残留応力をゼロにすることは物理的に不可能だと整理されています。対策の本質は、発生を否定することではなく、どの条件の組み合わせでリスクが顕在化するのかを把握し、許容範囲と危険域の境界を実証によって定義することにあります。

品質保証の観点では、メッキ工程をブラックボックスのまま扱うことが最も危険です。

セミナーでは、工程条件、材料の組み合わせ、経時変化を含めて理解し、工程として管理することが重要だと示されています。メッキを単なる外注工程として切り離すのではなく、製品信頼性を左右する中核工程として扱うことが、ウイスカによる市場トラブルを防ぐ現実的なアプローチです。

本記事で触れた技術解説については、TH企画主催の技術セミナーで、具体的事例を交えて体系的に解説しています。

【本記事について】
本記事は、TH企画セミナーセンターが主催する実装技術分野のセミナーにおける
講義内容・質疑応答・実務事例をもとに、製造業向け技術情報として編集・再構成したものです。

執筆・編集:TH企画 技術コンテンツ制作チーム

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