■ 問題提起
監査員が延々と語り、
被監査側が「はい」と頷くだけ。
「改善点を丁寧に指導できた」
そう満足して監査を終えていませんか。
しかし、その現場から
本当のリスクは一つも出てきていない可能性があります。
監査は“教育の場”ではありません。
監査は“情報抽出の場”です。
喋る監査員ほど、
リスクから遠ざかります。
■ メカニズムの深掘り
監査員の仕事は指導ではありません。
情報取得です。
ここで重要なのが、
ヒアリングとリスニングの違いです。
- ヒアリング:音が聞こえる状態
- リスニング:意図して聴く状態
この違いを理解していない監査は、
形式的な対話で終わります。
さらに重要なのは、
言葉以外の情報です。
- 声のトーンのわずかな変化
- 説明と説明の間の“間”
- 視線が泳ぐ瞬間
- 不自然な沈黙
- 即答できない違和感
これらはすべてリスク信号です。
多くの場合、重大不適合は
“発言の内容”ではなく
発言の揺らぎに現れます。
しかし、沈黙を埋めたくなる監査員は、
その信号を自ら消してしまいます。
沈黙に耐えられない監査員は、
重大リスクに到達できません。
■ 解決の視点
監査の設計思想を変える必要があります。
耳は2つ、口は1つ。
話す量よりも、
聞く量を倍に設計してください。
具体的には:
- オープンクエスチョン(5W1H)
- 仮定質問(「もし〜ならどうしますか?」)
- 言い換え確認(「つまり〇〇ということですか?」)
- 中立姿勢の徹底(即時否定をしない)
そして最も重要なのは、
沈黙の設計です。
質問を投げた後、
あえて間を置く。
相手が“説明を補足したくなる空白”を作る。
この余白が、
隠れていた情報を引き出します。
監査とは、情報の非対称性を埋める行為です。
そのためには、
心理的安全性と緊張感の絶妙なバランスが必要です。
■ 見逃してはならない事実
指導に酔う監査員は、嘘を見抜けません。
監査の目的は、
正解を教えることではなく、
現実を可視化することです。
優れた監査員は、
自分の知識を語りません。
代わりに、
相手に語らせます。
沈黙をデザインすること。
それが最も攻撃的な監査技術です。
そして、それができる組織だけが
本当のリスクに到達できます。
もし御社が、
- 監査時間の大半が説明・指導に費やされている
- インタビュー技術を体系化していない
- 監査員教育がチェックリスト中心になっている
のであれば、
監査技能の再設計が必要です。
本記事で触れた技術解説については、TH企画主催の技術セミナーで、具体的事例を交えて体系的に解説しています。
【本記事について】
本記事は、TH企画セミナーセンターが主催する
実装技術分野のセミナーにおいて実施されたセミナー内容、ならびに紹介された事例をもとに、
TH企画が製造業向け技術情報として編集・再構成したものです。
執筆・編集:TH企画 技術コンテンツ制作チーム




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