ペロブスカイト太陽電池の動作メカニズムと実用化への課題・動向,分子レベルで材料評価を行える高感度・高精度な手法である電子スピン共鳴(ESR)を用いた解析方法,
動作を支配する電荷状態等の非破壊・非接触の素子動作中の観察,従来の測定・評価技術では得られないミクロな視点での情報取得によるペロブスカイト太陽電池の高性能化指針について,最新の技術動向を交え詳しく解説する特別セミナー!!
- 講師
-
筑波大学 数理物質系 物質工学域 教授 丸本 一弘 先生
- 日時
- 2024/11/8(金) 10:00〜16:00
- 会場
- ※本セミナーはWEB受講のみとなります。
- 受講料
-
(消費税率10%込)1名:49,500円 同一セミナー同一企業同時複数人数申込みの場合 1名:44,000円
- テキスト
- PDF資料(受講料に含む)
受講概要
- 受講形式
WEB受講のみ
※本セミナーはZoomシステムを利用したオンライン配信となります。
- 受講対象
・本テーマに興味のある方なら、どなたでも受講可能です。
・有機薄膜・ペロブスカイト太陽電池の材料研究開発を始めたばかりの方から、ある程度の研究経験を経た方。
・業務に活かすため、有機薄膜・ペロブスカイト太陽電池についての知見を得たいと考えている方
・有機薄膜・ペロブスカイト太陽電池に取り組んでいるが、ミクロな情報を得ることが出来ない課題があり困っている方 など
- 予備知識
・半導体の基礎知識。高校卒業レベルの化学の知識。
・この分野に興味のある方なら、特に詳しい予備知識は必要ない。
- 習得知識
1)ペロブスカイト太陽電池の動作メカニズムと実用化への課題・動向
2)分子レベルで材料評価を行える高感度・高精度な手法である電子スピン共鳴(ESR)を用いた解析方法
3)ペロブスカイト太陽電池の動作を支配する電荷状態等の非破壊・非接触の素子動作中(オペランド)の観察
4)従来の測定・評価技術では得られないミクロな視点での情報取得によるペロブスカイト太陽電池の高性能化指針 など
- 講師の言葉
ペロブスカイト太陽電池の高効率化・長寿命化を効率良く行うためには、ペロブスカイト太陽電池性能の低下・劣化を引き起こす電池内部の構造欠陥を評価することが不可欠であり、これまで、多くの測定・評価技術が開発され利用されています。
しかし、従来の測定・評価技術はマクロな手法であり、分子レベルでのミクロな情報を得ることが出来ない限界がありました。この問題を解決するため、分子レベルで材料評価を行える高感度・高精度な手法である電子スピン共鳴(ESR)をペロブスカイト太陽電池に適用する手法を開発しました。この手法の特徴は、高効率化・長寿命化を妨げているペロブスカイト太陽電池内部の構造欠陥を、非破壊かつ非接触で素子動作中(オペランド)に観察できる点であります。これにより、従来の測定・評価技術では得られないミクロな視点での情報が得られ、ペロブスカイト太陽電池の研究開発を格段に進展させ、高効率化・耐久性向上を行えると期待されます。
本講座では、主にペロブスカイト太陽電池のESR研究を紹介し、その他の有機デバイスの開発に有用な点も解説します。
プログラム
1.ペロブスカイト太陽電池の 特徴と現状
1)ペロブスカイト太陽電池の原理
2)溶液法による作製
3)軽量・柔軟性を活用した応用展開
4)鉛毒性等の環境負荷の課題
2.ペロブスカイト太陽電池の 高効率化と長寿命化のために
1)封止で解決する素子性能の低下・劣化機構
酸化、水和分解、分子劣化
2)封止で防げない素子性能の低下・劣化機構
電荷形成、電荷トラップ、ペロブスカイト劣化
3.電子スピン共鳴(ESR)で 分かる情報
1)分子レベルのミクロ解析
電荷移動や電荷形成される分子種の特定と状態解析
2)非破壊・非接触による太陽電池内部の欠陥状態の解析
3)ペロブスカイト太陽電池のESR評価時の注意点
4.ペロブスカイト太陽電池材料の 要件とESR評価
1)電荷ドーピング状態
2)ペロブスカイト界面における電荷移動
3)ペロブスカイト太陽電池の高効率化への指針
5.ペロブスカイト太陽電池の素子動作時の性能劣化メカニズムと長寿命化
1)素子動作時の電荷ドーピング状態の変化
2)ペロブスカイト界面における電荷移動と電荷障壁形成
3)ペロブスカイト太陽電池の長寿命化への指針
6.鉛フリーペロブスカイト太陽電池の性能低下メカニズムと高効率化
1)ペロブスカイトの酸化・還元効果
2)ペロブスカイト界面における電荷移動と電荷障壁形成
3)ペロブスカイト太陽電池の高効率化への指針
7.鉛フリーペロブスカイト太陽電池の素子動作時の性能劣化メカニズムと長寿命化
1)ペロブスカイトの劣化効果
2)ペロブスカイト界面における電荷移動・トラップと電荷障壁変化
3)ペロブスカイト太陽電池の長寿命化への指針
まとめ
まとめ
質疑応答
Q&A
略歴
1992年03月 北海道大学理学部物理学科 卒業
1994年03月 大阪大学大学院理学研究科物理学専攻 修士課程修了
1996年04月 – 1997年03月 日本学術振興会 特別研究員(DC2)
1997年03月 大阪大学大学院理学研究科物理学専攻 博士課程修了 博士(理学)
1997年04月 – 2004年03月 名古屋大学大学院工学研究科応用物理学専攻 助手
2004年04月 – 2005年12月 名古屋大学大学院工学研究科マテリアル理工学専攻 助手
2006年01月 – 2007年03月 筑波大学大学院数理物質科学研究科物性・分子工学専攻 助教授
2007年04月 – 2011年03月 筑波大学大学院数理物質科学研究科物性・分子工学専攻 准教授
2009年10月 – 2013年03月 科学技術振興機構(JST)さきがけ「太陽光と光電変換機能」 研究員(併任)
2011年04月 – 2011年09月 筑波大学大学院数理物質科学研究科物質創成先端科学専攻 准教授
2011年04月 – 2017年09月 筑波大学学際物質科学研究センター(白川センター、TIMS) メンバー(兼任)
2011年10月 – 2022年05月 筑波大学数理物質系物質工学域 准教授
2012年09月 – 2013年03月 産業技術総合研究所 技術研究組合BEANS研究所 主任研究員(併任)
2013年02月 – 2015年03月 物質・材料研究機構 太陽光発電材料ユニット 外来研究員(併任)
2013年10月 – 2020年03月 産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター 客員研究員(併任)
2017年10月 – 現在 筑波大学エネルギー物質科学研究センター(TREMS) メンバー(兼任)
2020年11月 – 現在 産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター 客員研究員(併任)
2022年06月 – 現在 筑波大学数理物質系物質工学域 教授
2022年06月 – 2024年03月 筑波大学イノベイティブ計測技術開発研究センター メンバー(兼任)
2024年04月 – 現在 筑波大学有機無機量子スピンサイエンス・テクノロジー研究センター(OIQSST) センター長(兼任)
【所属学会】
2021年05月 – 現在 日本太陽光発電学会 正会員
2010年04月 – 現在 有機EL討論会 正会員
2008年10月 – 2016年09月 米国物理学会(American Physical Society) Full Member
2008年01月 – 現在 国際電子スピン共鳴学会(International EPR(ESR) Society (IES)) Full Member
2004年10月 – 現在 電子スピンサイエンス学会 正会員
2002年01月 – 現在 応用物理学会 正会員
2001年07月 – 2010年06月 高分子学会 正会員
2001年01月 – 2004年08月 英国物理学会(Institute of Physics) Full Member
1993年08月 – 現在 日本物理学会 正会員
【主要な論文】
“Open-Circuit-Voltage Improvement Mechanism of Perovskite Solar Cells Revealed by Operando Spin Observation”, H. Kimata, S. Yamaguchi, T. Gotanda, D. Xue, H. Asai, A. Shimazaki, A. Wakamiya and K. Marumoto, ACS Applied Materials & Interfaces 15 (2023) 58539.
“Investigating the operation mechanism of light-emitting electrochemical cells through operando observations of spin states”, J. Katsumata, F. Osawa, G. Sato, A. Sato, K. Miwa, S. Ono and K. Marumoto, Communications Materials 4 (2023) 41.
“Stability improvement mechanism due to less charge accumulation in ternary polymer solar cells”, D. Xue, M. Saito, I. Osaka and K. Marumoto, npj Flexible Electronics 6 (2022) 22.
“Spin-states in MoS2 thin-film transistors distinguished by operando electron spin resonance”, N. Tsunetomo, S. Iguchi, M. Wierzbowska, A. Ueda, Y. Won, S. Heo, Y. Jeong, Y. Wakayama and K. Marumoto, Communications Materials 2 (2021) 27.
“Deterioration mechanism of perovskite solar cells by operando observation of spin states”, T. Watanabe, T. Yamanari and K. Marumoto, Communications Materials 1 (2020) 96.
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