1章
1-1・ワーク図:詳細原価計算はツーリング資料を基に行います。これはツーリングを行う為に設定したワークです。図面の見方も簡単に説明します。
1-2・ワークを加工する「複合加工機」です。初期の開発機械をあえて使っています。
1-3・ツ-リングをする為には、幾つかの情報が必要です。
1-4・1-1のワークをツーリングした資料です。ツーリングは大変難しく、日本でツーリングが出来る人は20人位かもしれません。何故なら、切削加工に関する膨大な知識と経験が必要だからです。切削加工技術のレベルアップを図る方法としてはツーリング技術を高める方法が最適と言えます。何故なら、技術レベルが目に見えるからです。
2章
2A・ツーリング資料を基にした「詳細原価計算方法」です。ツーリング資料の「工程、例えば、OP1-1」のように、工程ごとに原価を計算します。
2B・加工に関係するあらゆる「費目」の原価が計算されます。例えば、「工具費や割り出し交換、試削り計測、ネジ計測」などの原価を計算できる方法は世界にありません。
2C・最終的には、準備作業や段取り作業やNCプログラの作成など、切削に関わる全ての費目の原価が計算されます。
2D・そして、それらは「狭義の原価」として算出されます。狭義の原価とは、詳細原価計算に含まれない間接スタッフなどの原価があるからです。ですので、広義の原価を得る為には、そうした含まれていない原価を加える必要があります。
2E・詳細原価計算をすれば「原価率表(小坂の表現)」という大変重要な資料が作成できます。原価率表から「簡易原価計算方法」が導き出されました。また、原価率表は、コストダウンを行う際に必要と言えます。原価率表の事を知っている人は皆無です。
2F・詳細原価計算から、「各工程の時間&コスト分析資料」が作成できますので、どの工程をコストダウンすべきかが分かります。
3章
3.1A・現在ある正式な原価計算方法は「標準原価計算方法と実際原価計算方法」ですが、これらの方法では原価を正しく計算する事は出来ません。特に、「工具費関連のコストや計測関連のコストは全く補足できません」ので、製品の原価の15%程度が補足できないと言えます。
3.1B・コンサルタントが提示した原価計算例を掲げていますが、「原価の費目」としては機械加工費のみしか計算されていません。全くデタラメな計算と言えます。こんな実態もあるのです。
3.1C・原価率表が提示されていますが、「原価率は生産数量により決まる事を見つけました」と書かれていますが、これも大きな発見と言えます。これにより「簡易原価計算方法」が見つけられたのです。
3.1D・中量生産の原価分析の図が提示されていますが、製品の原価率の高い項目は、①機械加工費、②材料費、③工具費です。
3-2-1・1は詳細原価計算用のワーク図でした。そのワークのツーリング資料で「様々な生産数量で原価率表を作成」しました。1と異なるワークでも「様々な生産数量で原価率表を作成」し、ワークが異なっても原価率表はほぼ同じであることを確認しました。
3-3-3・このツーリング資料を基に様々な生産数量で詳細原価計算をしています。
3-2-4A ・原価率表を用いた簡易原価計算方法を2例提示しています。
3-2-4B ・うち1例は広義の原価計算を示しています。
3-2-4C ・見積り金額の計算の仕方も示しています。即ち「粗利」について書かれています。
3-2-4D・コストダウンの対象製品は、その製品の広義の原価率表を作成すべきですが、その作成方法を説明しています。
3-2-4E・生産形態と稼働率につき、小坂の定義が書かれています。この定義はどこにもありません。
3.3A・「機械加工費の原価率+材料費の原価率」を設定原価率と称しています。「設定原価率は製品には関係なく、生産数量で決まります」という事を見つけ出しましたので、設定原価率により比較的正しい原価が容易に計算できます。ツーリングは不要ですが、加工時間を算出する必要があります。
3.3B・設定原価率による簡易原価計算方法は、どんな加工にも適用できますが、私が確認した範囲での判断であり、場合によっては適用できないケースもあるかも分かりませんと申し上げておきます。ご心配の場合は、詳細原価計算方法でご確認願います。
4章
4A・コストダウンには様々な方法がありますが、あくまでも「切削加工によるコストダウンが主体で考えた場合」について書かれている事を表明しています。
4B・消費(需要)の中心は「アジア太平洋地域」であり、ここで如何に販売できるかが重要であることが書かれています。
4C・アジア太平洋地域の賃金は、一番高い中国でさえ「日本の約1/5」であり、日本は現地生産で対処している事とやむなく日本で生産する場合には「究極のコストダウンが求められている事」が分かります。
4D・日本の「労働生産性が如何に低いかが」分かります。生産性の向上は必須です。
4E・「はじめに」 で説明した、切削加工産業の重要性と切削加工の技術レベルが大変低い(即ち、原価が高い)事が重要な課題であることが書かれています。
4F・切削加工の技術レベルを高める為の最もいい方法は「ツーリングが出来るようになり、ツーリング技術を高める事」であることが書かれています。
4G・切削条件の変更による基本的なコストダウンの進め方について書かれています。
4H・コストダウンの対象製品は、広義の原価率表を作成し、それを参考にコストダウンを考えるべきであることが書かれています。
4I・具体的な製品のコストダウンを説明する事は出来ませんので、中量生産の原価率表を対象にしてコストダウンの方法を説明する旨書かれています。
4J・原価率の高い項目をコストダウンの対象項目にすべきであり、このケースでは機械加工費、材料費、工具費の順で原価率が高く、先ず機械加工費のコストダウンを考えるべきであると書かれています。
4K-1・機械加工費のコストダウン手段として、「切り込み、送り、切削速度の変更」が書かれています。主体は切削速度ですが、メーカーにより刃具の特性が異なる事が書かれています。
4K-2・理想的な切削速度(=20~30分寿命)の求め方(コストダウンの仕方)が具体的に書かれています(業界初)。
4L・非加工時間の短縮や生産性の向上に寄与する「キャプト」を使用すべき時代であることが書かれています。
4M・時間チャージの低減(加工コストの低減)対策として、最も簡単に大幅にコストを低減できる方法として「複数台持ち」が推奨されています。
4N・その他の対策として「設備投資対策=省人化、無人化」「間接部門のコストダウン」が書かれています。
5章
5A・5-1のワークのツーリングが5-4に紹介されていますが、このツーリングが出来る人は日本には殆どいません。大変難しいツーリングです。私のツーリングでは、現状の加工時間の40%位の時間で加工できることが示されています。
5B・まとめとして、私のツーリングを採用すれば「年間559万の赤字を減らす事出来る事」が書かれています。
5C・シリンダーヘッドの加工に関して言えば「加工技術レベルがあまりにも低い」と書かれており、対策としては「私のツーリングを採用し、無人化をすべき」と書かれています。
5D・工場のコストダウンの仕方、進め方に関する「ロードマップ」が書かれています。
質疑・応答
講師紹介
略歴
1968年千葉工業大学卒。
同年(株)宮野製作所(現アルプスツール)入社。
1976年サンドビック(株)コロマント事業部入社。
2010年定年退職。
その間日本の殆どの大企業とビジネスを行い、切削加工の技術指導をする。
スウェーデンの本社が開発した画期的な新製品キャプトを日本に広め本社で表彰される。
GMD森精機の技術指導に当たる。
著作
切削加工の基本知識は業界のバイブル本。その他今迄4冊の本を出版しています。
各地でセミナーを行っており、時折近くの会社のコストダウンの指導も行っている。