医薬品開発の進め方,スケールアップ実験の事例・考え方・実験の進め方・実験結果の評価方法,原薬のプロセス開発の進め方・様々な事例,プロセスバリーデーションの進め方,開発段階に応じたプロセス変更の考え方について,豊富な経験に基づき分かりやすく解説する特別セミナー!!
- 講師
株式会社三和ケミファ 医薬・ファインケミカルグループ 統括本部長 丸橋 和夫 先生 薬剤師・薬学博士
- 日時
- 2024/6/25(火) 10:00〜16:00
- 会場
- ※本セミナーはWEB受講のみとなります。
- 受講料
- (消費税率10%込)1名:49,500円 同一セミナー同一企業同時複数人数申込みの場合 1名:44,000円
※別途テキストの送付先1件につき、配送料1,210円(内税)を頂戴します。
- テキスト
- 製本資料(受講料に含む)
受講概要
受講形式 WEB受講のみ ※本セミナーは、Zoomシステムを利用したオンライン配信となります。 受講対象 医薬品原薬、中間体、化学品の研究開発、製造部門の実験担当者、指導者、責任者 これから原薬製造関連業務を担当しようとする初心者 など 予備知識 有機化学、GMP(例えばICHQ7)、医薬品原薬の開発と臨床試験、プロセスケミストリーなどに関する 知識があればより理解しやすいと思います。 習得知識 1)医薬品開発の進め方 2)スケールアップ実験の事例、考え方、実験の進め方、実験結果の評価方法 3)原薬のプロセス開発の進め方、様々な事例 4)プロセス開発のまとめ(プロセスバリーデーション)の進め方 5)開発段階に応じたプロセス変更の考え方 など 講師の言葉 医薬品、化学品開発の最終目標は商用生産にある。原薬、中間体、化学品のスケールアップ製造は開発過程では絶対に避けられない部分であり、開発初期では合成プロセス、出発原料の変更のような大幅なプロセスの変更も可能であるが、開発が進むにつれ変更は困難となり、逆に設定したパラメータの不足、不都合部分が明らかになってくる。スケールアップ検討ではプロセスに応じた実験計画を組む必要がある。実験計画法は「実験の計画」と実験により得られたデータの「解析方法」の二つから構成され、実験の計画とは「目的に応じてどのような実験を行えばよいか?」あるいは「どうすれば必要なデータを効率的に集めることができるか?」と言える。 本セミナーでは実際に経験した事例(失敗例)を参考に各開発段階で行う実験の注意点、実際のスケールアップ製造で遭遇した問題点をどのように対処、解決したかを説明し、更にそこから得られた知見をもとに効率的な実験計画の立て方、必要なデータの集め方を説明する。
プログラム
1.医薬品(原薬、中間体)、化学品の開発とスケールアップ(基本的な考え方) 2.小スケールとスケールアップの相違点 ・小スケールとスケールアップのパラメータの比較と考え方、設定法 3.合成法、合成ルートの設定、考え方 4.スケールアップ実験するためのチェックポイント、考え方と原料、中間体の評価項目(安全性、安定性、結晶多形、溶媒和他)とその対応策 5.実験計画法による効率的なデータ収集 (1)スケールアップを前提とした実験計画の考え方 (2)スケールアップ前提の実験計画の考え方、データの取得法、活用法(事例を参考に) ・事例1:プロセスの短縮(7日近くかかるプロセス(反応→抽出→濃縮→晶析→乾燥)を2日に短縮。) ・事例2:過酸化水素水による酸化反応(危険性回避) 6.スケールアップでの問題点(実際の経験から)と対応策 (1)開発初期(実験室~10Lスケール)の事例 ・転位反応:1gから10gにスケールアップしたら転位反応が原因で目的物が得られなくなった。(反応機構の理解) ・アスコルビン酸硫酸エステル誘導体の製造:1gスケールでは目的物が合成できたが、10gスケールでは合成不可の結果となった。(中間体の安定性) ・カラム分離工程の回避:前臨床試験に進むことが決まり、カラム分離工程回避の必要性が出てきた。(結晶性誘導体) ・ピリジン・無水硫酸錯体(硫酸エステル化剤)の合成:吸湿性が原因で目的物が得られないと判断したが、逆に吸湿性を利用することで大量生産可能な方法を見出した。(目的物の物性の理解) ・ペントキシフィリン中間体の製法検討:文献を参考に実験を進めたが目的物は得られず、実験結果に基づいて検討を進めたところ、簡単な製法にたどり着いた。(反応の理解) ・抗生物質の側鎖の製造:新合成法を考案し、特許出願までしたが、中間体に安全性の問題あることがわかり、検討中止。(安全性は変えられない) ・五塩化リンによるクロル化プロセス:溶媒を変更したら反応が進まなくなった。(結晶多形の影響?) ・アルキルホルムイミデート類の合成:青酸ガスを使用しなければならない。(反応の理解) ・エステルの選択(アミノチアゾール誘導体):メチルエステル、エチルエステルの比較実験をして相違点(物性)を確認、合理的な合成法に至った。(実験して初めて違いがわかる) (2)パイロット試作(200~500Lスケール)での事例 ・ジクロルアセトニトリルの製造:設備の性能を安易に考えて刺激性のミストが噴出した。(反応の理解) ・アミノチアジアゾール誘導体の製造:設備の性能を安易に考えてオーバー反応してしまった。(目的物の安定性評価法) ・塩酸ペンタゾシンの中間体の製造:スケールアップして中間体を大量合成したら分解してしまった。(中間体の物性は変えられない) ・アミノチアゾール酢酸誘導体の製造:再結晶プロセスをスケールアップしたら目的物が得られなくなった。(必ず原因があり、対策がある) ・臭素化プロセスのスケールアップ:パイロットにスケールアップしたところ、反応開始を確認できず、大きなトラブルに陥りそうになった。対処法を検討した結果、合理的かつ安全なプロセス開発に至った。 ・撹拌速度の影響:アセトン/炭酸カリウム系でのアルキル化反応。(不均一反応の考え方) ・結晶多形の同等性:外部委託したら結晶形で同等性の問題が発生。(規格設定の重要性) (3)パイロットから商用生産(2000Lスケール以上)での事例 ・微量の添加剤の影響:2工程先の抽出・分液工程で問題(エマルジョン)発生。(微量の添加剤の影響、原料のロット管理) ・PhaseIII試験終了後の製法変更:爆発性の中間体を経由するためスケールアップ製造できないうちにPhaseIII試験が終わってしまった。(反応の仕組みの理解) ・目標規格の原料が手に入らない:商用生産に入ろうとしたら原料が入手できなくなった。(原料調査の重要性) ・設備変更して反応の本来の姿がわかった:パイロットまでGL、商用生産でSUSに切り替えたところ錆が発生。(原料中の強熱残分の影響) ・アミノチアゾール酢酸製造のスケールアップ:パイロットまでは問題なかったが、商用生産で乾燥機の選択を誤った。(安定型と準安定型) ・キャンペーン生産:スポット生産では問題なかったエステル交換反応を、キャンペーン生産に切り替えたところエステル交換反応が進まなくなった。(種晶の影響) ・溶媒回収できる条件でプロセスを設計:溶媒回収しないと採算が合わなくなった。(発想の転換) ・残留溶媒の規格:商用生産に移行しようとしたら残留溶媒の問題発生。(溶媒和物) ・出発原料の製法に伴う問題(製法に伴う異性体混入の可能性) (4)商用生産開始後の事例 ・収量低下の逸脱:原料の溶解時間の影響(原料と溶媒の相互作用) ・技術移転:季節の影響まで考えていなかった。(湿度の影響) ・原料の純度をアップ:高純度の原料に切り替えた途端に逸脱(不純物除去の仕組み) ・乾燥時間の管理:順調に商用生産がスタートしたが、突然製品の乾燥時間が2倍(10時間→20時間)になった。(水和物の考え方) 質疑・応答 講師紹介 略歴 1979.3 岐阜薬科大学大学院(博士後期課程)中退 1979.4 和光純薬工業株式会社入社、東京研究所主席研究員を経て、 1991.10 大鵬薬品工業株式会社入社、工業化技術研究所所長、合成技術研究研所長 (この間、治験薬(原薬)品質管理者 約16年)を経て、 2007.7 三菱商事株式会社入社、先端化学品本部技術顧問(兼)常熟力菱精化工有限公司(中国、常熟市)研開部本部長を経て、 2008.7 株式会社エースジャパン入社、常務取締役山形工場長(この間、医薬品製造管理者 約6年))を経て、 2015.4 株式会社三和ケミファ入社。個人事業主登録し(2016)、数社のCMCアドバイザーも兼務し現在に至る。 著作 スケールアップ・ダウン検討/失敗例/解決(対処)法45の事例 (サイエンス&テクノロジー 2018)、 その他分担執筆多数 協会および役職・活動状況 東京大学大学院薬学系研究科 薬学部研究員
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