受講概要
受講形式 WEB・会場 受講対象 機械装置メーカー・機械部品メーカーなどの設計者。 設計経験が長い設計者、強度評価で困ったことのある設計者、CAE解析で、非常に高い応力の解析結果が出てしまって困ったことのある解析専任者や設計者には最適。 予備知識 力、モーメント、応力、変位、ひずみ、弾性係数の定義と単位が理解できること。 一様断面の棒を引張ったときの応力とひずみの計算ができること。
進呈
講師著書:強度検討のミスをなくすCAEのための材料力学(日刊工業新聞社)」を進呈します。
習得知識 1)強度検討に必要な材料力学の知識を効率良く修得することができる。 2)応力集中部の強度の確保の仕方がわかるようになる。 3)形状の変更に伴う発生応力の増減が把握できるようになる。 4)CAEを使わなくても、強度検討ができるようになる。 講師の言葉 機械設計の分野ではCAEの普及に伴って、部品形状までがある程度定まるまで設計が進むと、CAEを利用しての時間をかけた詳細な解析が行われるようになりました。しかし、設計において重要なのは、詳細な検討に先立ち、製品が”壊れそうか、壊れそうでないか”を素早く判断することです。そして壊れそうな部分はより入念に検討を行うのは当然のことですが、壊れそうもない部分にはそれ以上の時間を割く必要はありません。このような判断や検討のためには、実はCAEはあまり必要ありません。そして、このために必要な材料力学の内容も、それほど難しいものではないのです。 本セミナーでは、破壊が発生しやすい応力集中部に注目し、CAE解析を行わなくてもある程度応力集中係数αが把握できる方法、形状変化に伴って応力が増えるか減るかの判断方法、αが強度低下に及ぼす影響などについて紹介し、OKかNGかの判断が素早く行えるために必要な材料力学ついてご紹介します。 また、安全率については100年以上も前に提唱されたアンウィンの安全率がいまだに使用されていますが、近年機械学会などで見直された合理的な設定方法について紹介します。効率良く応力集中部の強度評価方法を習得して、無駄のない強度設計を目指しましょう。機械工学が専門でない設計者の方にとっても、非常に効率良く必要な事が学べる材料力学の講座です。
プログラム
第1章 強度評価の基本~4つの影響因子 1.1 ものごとの適切な進め方 ~重要なのは”影響因子”の把握! ~設計の正しい進め方 1.2 設計での材料力学の目的~強度評価と剛性評価 1.3 強度評価での影響因子と強度判定の仕方 ① 発生応力(基準応力) ② 強度低下率 ③ 強度の限界値 ④ 安全率 1.4 設計計算の精度と手計算の有用性 第2章 発生応力について 2.1 応力とは? ~引張応力は強度評価で最も重要! ~計算しなくてもわかる応力がある! 2.2 応力の簡単な計算式 ~公称応力と基準応力 ~簡単な計算でできる強度評価 2.3 力の流線とサン・ブナンの原理 2.4 主応力と相当応力 第3章 強度の限界値~破壊の指標 3.1 材質の違いによる破壊現象 延性破壊,脆性破壊 3.2 荷重の種類の違いによる破壊現象 引張・圧縮,曲げ,せん断,捩り 3.3 荷重の作用の仕方による破壊現象 静的破壊,疲労破壊,衝撃破壊 3.4 その他の破壊現象 クリープ,応力腐食割れ,劣化 3.5 弾性破壊について 第4章 安全率 4.1 安全率の値の定め方 ~まずは,法律,業界基準 4.2 正規分布を利用した理論的な定め方 4.3 対数正規分布を利用した理論的な定め方 4.4 アンウィンの安全率 ~現代では使ってはいけない! 第5章 応力集中による強度低下 5.1 応力集中係数αの定義 5.2 応力集中発生の原因と特異点 5.3 応力集中と力の流線の関係 5.4 αの上限値の見積り方 5,5 最弱断面の選び方と基準応力の計算の仕方 5.6 CAEを利用した基準応力の計算の仕方 第6章 応力集中による強度低下 6.1 寸法効果について 6.2 応力集中による強度低下率(切欠係数)βの定義 6.3 βとαの関係 6.4 特異点での強度の把握の仕方 第7章 強度評価のまとめ 質疑・応答 講師紹介 略歴 1974年 東京大学工学部精密機械工学科 卒業 1974年 三菱電機株式会社中央研究所 入社 大型発電機の構造強度に関する研究に従事 1985年 フランスCNRS(国立科学研究センター)客員研究員 セラミクスのクリープの研究に従事 1987年 大型天体望遠鏡「すばる」の開発に従事 1991年 携帯電話の開発に従事 1994年 三菱電機グループ内機械技術者教育に専従 社内3次元CAD・CAEの利用普及活動に従事 2008年 技術士(機械部門)取得 2010年 三菱電機を定年退職、TMEC技術士事務所設立 著作(最近15年間) 2011年1月 「製品設計を変えるCAE活用術」 雑誌「機械設計 総論」日刊工業新聞社 2012年3月 「壊れない機器を設計する簡単メソッド-実践材料力学 初級編」 雑誌「機械設計 特集」日刊工業新聞社 2013年5月 「CAEを正しく使いこなす有限要素法の基礎」 雑誌「機械設計 特集」日刊工業新聞社 2014年7月 「壊れない機器を設計する簡単メソッド-実践材料力学 中級編 応力集中を制する!」 雑誌「機械設計 特集」日刊工業新聞社 2015年3月 「強度検討のミスをなくすCAEのための材料力学」 著書 日刊工業新聞社 所属学会・協会 日本技術士会、日本機械学会 非常勤講師 大阪市立大学工学部(1996~1999)、 東京大学大学院工学系研究科(2000~2001) 大阪大学工学部(2007~2009)