界面活性剤基礎知識・応用知識,分散の三要素とは,粉体の物性,分散剤の差異に関する知識,分散媒の違い・分散性,使える分散剤の差異,すぐに使える簡易分散剤の選定方法・分散体の評価方法について,事例を交え基礎から詳しく解説する特別セミナー!!
- 講師
キレスト株式会社 技術顧問 成見 和也 先生 元 三洋化成工業株式会社 界面活性剤の応用開発に従事
- 日時
- 会場
- ※本セミナーはWEB受講のみとなります。
- 受講料
- (消費税率10%込)1名:49,500円 同一セミナー同一企業同時複数人数申込みの場合 1名:44,000円
- テキスト
受講概要
受講形式 WEB受講のみ ※本セミナーは、Zoomシステムを利用したオンライン配信となります。 受講対象 ・化学品(塗料、インク、セラミックス、電池等)の研究、技術、製造部門 ・界面活性剤について基礎理論、応用技術をもっと知りたい方 予備知識 ・有機化学の基礎知識 ・界面活性剤の基礎知識 ・溶媒(水と非水系溶剤)の違い(極性、表面張力等)に関する知識 習得知識 1)分散、分散剤を理解するために必要な界面活性剤基礎知識、応用知識 2)分散の基礎である“分散の三要素とは 3)分散に関わる粉体の物性について;粒子径、粒子形、極性、粉体の凝集性の関係とは 4)分散剤の差異;物性、極性、分子量、粉体との相性等、使い方の差異に関する知識 5)分散媒の違い(水或いは非水系溶媒)と分散性、使える分散剤の差異 6)すぐに使える簡易分散剤の選定方法および分散体の評価方法 講師の言葉 現在、日本の種々の産業分野で超微粒子(ナノ粒子)の活用研究が盛んに行われている。50数年前に提案された分散の基礎概念として“分散の三要素”という考え方がある。三要素とは、①ぬれ性(Wetting)、②解きほぐし性(Deaggregate、Deaggromerate)、③分散体(スラリー)の安定性(Stabilization)の三つを言う。この概念は非常に古い概念であるが最近の超微粒子粉体の分散にも十分に適応できる分散の基礎概念である。この“分散の三要素”を使いこなすには界面活性剤の基礎・応用知識が必要となる。また安定な粉体の分散体を得るには粉体の基本的な性状(粒径、粒形、極性;親水性、疎水性等)の理解も必要となる。 これらの知識をもとに分散とは何か、分散剤とは何か、分散剤/粉体/溶媒との親和性はどうすれば良いのか等分散剤の使い方、評価・選定方法等分散について応用の効く基礎知識を説明する。一方、分散溶媒によって分散の考え方が異なる。例えば水系で分散するのか、非水系で分散するのかでも分散剤の選定の方法、基準が異なる。分散媒として非水系の溶媒を使う場合、使用溶媒の極性が非常に異なり、溶媒として水を使う場合と扱いが大いに異なる。非水系溶媒では高極性溶媒、中極性溶媒、低極性溶媒と極性が大きく異なり溶媒の種類によっては分散剤が十分に働かないことが有る。ここに粉体の極性が絡んでくると更に分散が困難になる。水系、溶剤系での分散に関する基礎的な考え方をご説明したい。また最近溶剤系分散に活用されようとしているハンセンパラメータ(HSP)についても説明する。
プログラム
(1)分散の定義(ISO TR-13097) “分散状態が時間の経過とともに変化しないこと。あるいは変化に対する抵抗が大きい様子” (2)分散(剤)とは・・・分散剤ならどの様な粉体でも分散出来るか⇒N0! ⇒粉体の物性の理解、界面活性剤(湿潤・分散剤等)の理解必要 (3)粉体とは 粉体の粒子径(Particle Size)と粒子形(Particle Shape)と分散性との関係 ①粒子径と粉体凝集性・・・何故粉体は凝集するのか、しているのか。 ②粒子形と粉末凝集性・・・板状粉体(平面体)が凝集し易いのは何故か。⇒毛管力。 ③粒子の持つ表面エネルギーと凝集性の関係 ・・・粉体の粒子径が小さくなればなるほど比表面積が大きくなり、トータルの表面エネルギーが大きくなる。 表面張力の定義から各粒子は比表面積を小さくすべく凝集性が強くなりぬれ難くなる。 ⇒この強く凝集した凝集体(二次粒子)を分散剤でどう対応するか。 ⇒或いは低分子量の湿潤・分散剤の利用(高分子分散剤との併用)で対応するか。 ④等電点とは・・・分散系のPHによって粉体の表面電荷が変化。⇒分散(剤)との関係は。 (4)分散を理解するために必要な界面活性剤の基礎知識 ①表面張力とは・・・お互いに接する面積を最小にしようとする力⇒分散との関係は?。 ②ぬれとは・・・凝集粒子を一次粒子にするための初期段階で必要な性能。 ③ミセルとは・・・球状ミセル⇒粉体粒子を球状ミセルで包み込むことで分散が成立。 ④HLBとは・・・親水性と親油性のバランス値⇒粉体の極性により使い分けする。 HLBの値は0~20で8以上が親水性、8未満が疎水性。 溶媒が水系か非水系かでHLBの値をどう使い分ける。 (5)DLVO理論と分散について ①電気二重層と分散性の関係 ②ゼータ電位の大きさと分散性の関係 ③高分子分散剤を使った時にDLVO理論は成立するのか ④高濃度分散体の場合DLVO理論は成立するのか (6)分散の三要素について⇒分散の基礎理論 ①ぬれ(初期分散性)性・・・凝集した粒子をぬらして膨潤させ、解きほぐしやすくするには ②解きほぐし性・・・膨潤した粒子を機械的に解きほぐし一次粒子とするには ③分散体(スラリー)の安定性・・・経時的な再凝集・沈降を防止するには (7)水系分散剤について ①分散を取り巻く分散因子とは ②水系分散剤選定のポイント・・・粉体の粒子径、粒子形、極性(親水性、疎水性)により異なる ③低分子湿潤・分散剤と高分子分散剤の分散性、性能の差異、使い分けについて ・・・特に微粒子、超微粒子の分散の時考慮すべきこととは (8)最適分散剤、最適分散評価法(特に簡易方法)について ①スパチュラ法(Daniel法、フローポイント法)・・・粉体と最適分散剤の簡易スクーリング方法 ②粘度・添加量曲線の作成・・・スパチュラ法で目安を付けた数種の分散剤から 最適分散剤最適添加量の絞り込み方法 ③試験験管沈降法・・・試作分散体の経時分離・沈降測定法(簡易法) ④グロス試験他・・・目視による簡易分散状態の測定法(簡易法) (9)ナノ粒子の分散について ①ナノ粒子の分散のまとめ・・・分散の三要素との関係、どう使いこなすかについて ②カーボンナノチューブの分散について (a)π電子-π電子相互作用による分散の考え方 (b)疎水―疎水結合による分散の考え方 (10)溶剤系分散の選定のポイントについて ①分散剤/溶媒/粉体の相関による分散性の違いについて *溶媒と分散剤の相溶性、親和性の簡易試験法・・・Daniel法、フローポイント法について ②SP値の考え方、使い方・・・発展形のHSP(ハンセンパラメータ)について ③ソーレンセンの酸・塩基相互作用の考え方、使い方 ・・・強い吸着層、吸着結合の作り方(酸価、アミン価とは、その使い方) (11)参考資料、書籍一覧 分散を勉強するための文献。資料の紹介、市販分散剤メーカー及び代表品名構造、組成一覧 質疑・応答 講師紹介 略歴 1973年3月 京都工芸繊維大学大学院修士課程修了 1973年4月 三洋化成株式会社 1984年10月 サンノプコ株式会社出向 現在 キレスト株式会社 技術顧問