受講概要
受講形式 会場・WEB 受講対象 プラスチック製品の設計・成形、製造、品質保証、営業技術などに携わる方、 プラスチック材料メーカの応用研究に携わる方 予備知識 わかりやすく解説するが、プラスチックに関する一般的知識がある方のほうが理解しやすい。 習得知識 1)プラスチックの強度と破壊について理解を深める。 2)強度に影響する応力要因、劣化要因、設計要因などについて理解する。 3)プラスチックの強度設計の留意点と基本を習得できる。 4)割れトラブルの原因究明と対策の進め方を習得できる。 特典 講師著書『設計者のためのプラスチックの強度特性』本間精一著(丸善出版)を進呈します。 講師の言葉 金属材料とは特性が異なるため、プラスチックの強度設計では次の課題がある。 ①粘弾性特性を有するため、弾性体として取り扱える設計範囲が狭い。 ②許容応力や弾性率が低いので、製品設計でカバーしなければならない点が多い。 ③熱、紫外線、化学的条件によって強度が変化または低下しやすい。 ④製品設計、成形条件、二次加工などの要因が関係するので、製品強度に影響する変数が多い。 ⑤体系化された強度設計データの集積が少ない。 本講では、プラスチックの基本性質や強度特性について述べた上で、製品や強度設計および割れトラブルの原因究明と対策について解説する。
プログラム
1.プラスチックの強度と破壊 (1)強度はどのような機構で発現するか (2)温度によって強度はどのように変化するか (3)クレーズとクラックの違いは何か (4)破壊はどのように起きるか (5)条件によって破壊様式はどう変わるか (6)強度は何故ばらつくか 2.プラスチックの基本特性 (1)結晶性プラスチックと非晶性プラスチックの違いは何か (2)ガラス転移温度とは何か (3)結晶融点、結晶化温度とは何か (4)粘弾性とは何か (5)応力緩和はどんな現象か (6)クリープはどんな現象か (7)分子量とは何か (8)分子量と強度はどんな関係があるか (9)どのような条件で分解・劣化するか 3.クラックと破壊 (1)ストレスクラックはどのように起きるか (2)ストレスクラック限界応力をどのように測定するか (3)ケミカルクラック、ソルベントクラック、環境応力亀裂(ESC)の違いは何か (4)ケミカルクラックはどのように起きるか (5)ケミカルクラック発生限界応力をどのように測定するか 4.プラスチックの強度特性 (1)応力、ひずみとは何か (2)静的強度(引張、圧縮、曲げ、せん断)はどんな強度か (3)引張強度と圧縮強度は、どちらが強いか (4)曲げ強度はどんな強度か (5)衝撃強度はどんな強度か (6)衝撃強度に影響する要因は何か (7)クリープ破壊強度はどのような現象か (8)クリープ破壊寿命をどのように予測するか (9)疲労破壊はどのような現象か (10)疲労限度応力をどのように求めるか (11)熱疲労破壊はどんな現象か 5.環境劣化と強度 (1)熱劣化はどのように起きるか (2)熱劣化寿命をどのように予測するか (3)熱劣化を抑制するにはどうするか (4)紫外線劣化はどのように起きるか (5)紫外線劣化寿命をどう予測するか (6)紫外線劣化を抑制するにはどうするか (7)化学薬品中ではどのような変化が起きるか (8)薬品劣化の対策はどうするか 6.残留ひずみと対策 (1)射出成形ではどんな残留ひずみが発生するか (2)残留ひずみはどのように発生するか (3)残留ひずみがあるとどんな製品不具合が発生するか (4)残留ひずみはどのように対策するか (5)アニール処理とは何か (6)どんな条件でアニール処理するか (7)どんなときにアニール処理するか 7.製品設計の進め方 (1)肉厚設計の留意点は何か (2)リブ設計の留意点は何か (3)ボス設計の留意点は何か (4)抜き勾配設計の留意点は何か (5)ウェルドラインはどのように発生するか (6)ウェルドライン強度はなぜ低下するか (7)ウェルドラインの強度を高くするには (8)応力集中すると、なぜ強度低下するか (9)どんな応力集中源があるか 8.強度設計の進め方 (1)プラスチック強度設計の留意点 (2)どんな設計データが必要か (3)許容応力とは (4)許容応力をどのように求めるか (5)製品強度を高めるには、どう設計するか (6)製品剛性を高めるには、どう設計するか 9.割れトラブルの原因究明 (1)原因調査をどう進めるか (2)材料の分解・劣化を調べるには (3)応力集中源を調べるには (4)残留ひずみを測定するには (5)製品破面から破壊原因に調べるには 10.割れトラブルと対策 (1)ストレスクラックトラブルをどう対策するか (2)ケミカルクラックトラブルをどう対策するか (3)ウェルドライントラブルをどう対策するか (4)応力集中トラブルをどう対策するか (5)成形に起因するトラブルをどう対策するか (6)二次加工に起因するトラブルをどう対策するか 質疑・応答 講師紹介 略歴 1963年三菱ガス化学入社ポリカーボネート、ポリアセタール、変性PPEなどの研究開発に従事。 1994年三菱エンジニアリングプラスチックスに移籍、技術企画、市場開発、常務取締役。 2001年退社後、本間技術士事務所を開設し、プラスチック関係の技術相談、講師、専門誌や書籍執筆などを行っている。 学会等 成形加工学会会員 NPO法人アタッセ 理事