受講概要
受講形式 会場・WEB 受講対象 医薬品、食品、化粧品企業の製造部門、品質部門、品質保証部門、教育訓練責任者、文書管理責任者 予備知識 特に必要ありません。 習得知識 1)Quality cultureの不適切な企業の特徴 2)現場力を高めるために必要なこと 3)QAの業務とは 4)責任役員のGMP教育は誰がいつ実施すればよいか など 講師の言葉 医薬品の品質は外観では分からないため、ユーザーは企業を信頼するしかない。 このため、責任役員は信頼確保のために、患者さんに健康リスクを負わさないという信念、品質優先という価値観、高品質の製品を恒常的に安定供給するという「品質方針」を掲げ、必要な資源を提供する。職員は担当業務において品質方針/品質目標の実現に努める。QAはユーザーに代わってその活動の実効性をチェックする。この活動成果は、職員の笑顔に表れ、重要業績指標:KPI(苦情件数、ロット不適率、逸脱件数など)の改善となっても現れる。 改正GMP省令が要請する医薬品品質システム(PQS)の実践とは、換言すればこうした信頼性確保の実践に役職員全員が取り組むQuality cultureを醸成していくことといえよう。Quality cultureを教育訓練、自己点検、SOPの実効性という視点で点検する講座である。
プログラム
1 医薬品関連事業者の責務と現状 1.1 医薬関連事業者等の責務であるPQS(医薬品品質システム)とは 1.2 2021年以降のGMP違反とその不正内容 1.3 製販業者が製造を知らないという問題 2 品質問題事案の再発防止に向けた行政の対応 2.1 不祥事を踏まえ、薬機法改正へ 2.2 法令遵守に関するガイドライン(薬生発第0129第5号令和3年1月29日)の要請事項 2.3 責任役員の責務 2.4 GMP省令の主な改正点 2.5 総括製造販売責任者の権限に問題があった 2.6 品質問題事案の再発防止に向けた取組み(薬生監麻発 令和4年3月29日)の要請事項 3 PQSの不備=不適切なQuality culture 3.1 そもそも「Quality Culture」とは 3.2 不適切なQuality Cultureの例 4 責任役員、経営陣、QAが持つべき意識 4.1 実効性のあるマネジメントレビューになっているか 4.2 マネジメントレビューは責任役員の教育訓練の場 4.3 責任役員・経営陣が考えるべきこと 4.4 責任役員を支援するのは製造管理者 4.5 QAは製造管理者を支援する実践部隊 5 変化、変更への適切な対応 5.1 現実世界(VUCA)にはQRM(OODAループ思考)が必要 5.2 変化/変更は起こるもの+起こすもの 5.3 行政は変更管理の支援へ(ICH-Q12ガイドライン) 6 リスクは現場に転がっている 6.1 製品品質照査はリスク抽出の一手段 6.2 現場には「小さい異常」がゴロゴロ 6.3 異常を常態化させないのが重要 6.4 そもそも逸脱管理の目的は何? 6.5 逸脱処理と異常処理は別に考えた方が良い 7 あるべき教育訓練 7.1 ルーチンワークを言われた通りにこなすスキルさえあれば良い? 7.2 PQSの実践で欲しいのは、潜在リスクの抽出や改善提案が行えるスキル 7.3 3つの知性の活用(流動性知性、統括性知性、結晶性知性) 7.4 何を確認すれば教育訓練の実効性が評価できる? 7.5 アクティブラーニング型の教育訓練へ 7.6 リスクマネジメントスキルの醸成=知識管理 8 サイトQAの役割 8.1 SOP/製造指図記録書は適切な内容か 8.2 QAは実効性のある記録かをチェック 8.3 自己点検が形骸化していないかをチェック 8.4 苦情対応の適切性もチェック 9 データの信頼性確保 9.1 DIガイドは「Quality Culture」の重要性を謳う 9.2 データガバナンスシステムの構築 9.3 3現主義(現場、現物、現状)でチェック 9.4 生データそのものの信頼性は大丈夫? 質疑・応答 講師紹介 略歴 元塩野義製薬株式会社製造本部次長 経口剤の連続生産技術開発や凍結乾燥注射剤の工業化検討、無菌製剤棟の構築プロジェクト遂行、アンプル注射剤・点眼剤製剤包装一貫工場の工場長、中国を始め国内外関連企業への技術支援業務に従事。 退職後は国内および台湾の後発医薬品・医薬部外品・健康食品企業の技術支援、ならびにGMP関連書籍の執筆、講演活動を実施。 出版物として「凍結乾燥のバリデーション」(共著)、「GMP・バリデーション事例全集」(共著)、「現場で直ぐ役に立つ製品標準書作成マニュアル」(共著)、「現場で直ぐ役に立つ 実務者のためのバリデーション手法」(共著)など多数。