受講概要
受講形式 会場・WEB 受講対象 業種:輸送機器、金属材料、機械関係などの製造業、 あるいは石油などエネルギー関連業、教育関連など 所属:設計、技術調査、品質保証 レベル:初級から中級 予備知識 金属材料に関する基礎的な知識 機器、機械構造物などの損傷原因調査や解析に興味のある方が望ましい なお、金属腐食、金属材料の環境強度、損傷解析に関する問題点について ⇒ 事前の質問を受け付けます。 質問は、th@thplan.comまでメールでご連絡ください。 習得知識 1)応力腐食割れSCC、水素脆性HE、水素雰囲気脆性HEE、および腐食疲労CFに関する基礎知識 2)機械・金属材料の腐食および防食技術の知識習得 3)機器・装置の損傷原因調査、解析に関する基礎知識 4)極値統計法の基礎知識、局部腐食深さに関する最大値推定の計算方法 講師の言葉 機器・装置や機械構造物の損傷事故は腐食を伴う部材劣化によるものが多い。 講義の第1章では、腐食の電気化学、および代表的な腐食と基礎的な腐食理論について説明する。また石油掘削、運搬などでは微生物腐食MICが問題となるが、その腐食メカニズムなどを説明する。 第2章では、炭素鋼、低合金鋼部材における硫酸露点腐食、水素脆性HEなど、またステンレス鋼における孔食やすき間腐食などの局部腐食や応力腐食割れSCCについて、事例を交えながら説明する。 第3章では、先ずSCCやHE損傷事例としてスチーム配管の割れ、ローラ材の割れ、プレート式熱交換器の割れ、ドリルねじの折損を紹介し、その原因と対策についてわかりやすく解説する。カーボンニュートラル対策として水素燃料が注目されているが、γステンレス鋼においても水素脆性感受性を示す(HEE)。高圧水素環境下の試験方法を紹介し、ステンレス鋼やNi基合金の試験結果の一例を紹介する。 次に、腐食割れの寿命評価では最大局部腐食深さが重要となるが、極値統計法の適用の要点を解説する。理解を深めるため実機の孔食測定結果に対して極値統計法を適用し、最大局部腐食深さの算出について実習する。
プログラム
Ⅰ.金属腐食の基礎と代表的な腐食 1.腐食の電気化学 1-1 電気化学の基礎 1-2 腐食の熱力学 1-3 腐食の速度論 1-4 不働態と不働態化現象 1-5 不働態皮膜と局部電池 2.金属材料の代表的な腐食 2-1 ガルバニック腐食 2-2 流速が関与する腐食 2-3 海水中における鉄鋼材料の腐食挙動 2-4 微生物腐食MIC(船体鋼板の腐食損傷) Ⅱ.金属材料の腐食損傷と防食対策 1.炭素鋼と低合金鋼の腐食と防食対策 1-1 伝熱面における腐食 1-2 硫酸露点腐食 1-3 応力腐食割れSCC 1-4 水素による脆性HE 2.ステンレス鋼の腐食損傷と防食対策 2-1 ステンレス鋼の耐食性 2-2 粒界腐食 2-3 孔食・すき間腐食 2-4 応力腐食割れSCC 2-5 高温高圧純水中の応力腐食割れSCC 2-6 高圧水素環境脆性HEE Ⅲ.金属材料の環境強度および最大局部腐食深さの推定 1.金属材料の環境強度と損傷事例 1-1 回転機器/ スチーム配管の割れ(APC型SCC) 1-2 プレート式熱交換器の割れ(APC型SCC) 1-3 ドリルねじの折損(HE型SCC) 1-4 回転機器/ ローラ材の割れ(HE型SCC) 1-5 高圧水素環境脆性(HEE) 2.極値統計法と最大局部腐食深さの推定 2-1 極値統計法について 2-2 -演習- 極値統計法による金属材料の最大孔食深さ推定 (参考)タービン動翼の最大局部腐食深さ推定と余寿命診断 質疑・応答 講師紹介 略歴 昭和47年 三井造船株式会社 技術本部玉野研究所 勤務 平成 8年 三井造船株式会社 技術本部玉野研究所 主幹研究員(部長) 平成17年 株式会社三井E&Sテクニカルリサーチ(旧 三造試験センター)勤務 令和 3年 株式会社NHファシリティーズ(旧 MESファシリティーズ)勤務 現在に至る 所属学会 日本マリンエンジニアリング学会 (以前所属:日本機械学会、日本材料学会、日本金属学会、日本鉄鋼協会、腐食防食協会) 活動状況 法政大学、東京大学、JR総研、三井造船で共同研究(平成5年度~平成7年度) 岡山大学工学部との共同研究(平成8年度~平成10年度) 佐賀大学客員教授(平成7年度) 岡山大学客員教授(平成8年度) 日本材料学会中四国支部評議員(平成9年度~平成11年度) 日本マリンエンジニアリング学会論文校閲委員(平成12年度~) 日本機械学会論文校閲委員(平成16年度~平成18年度) 日本造船学会論文校閲委員(平成18年度~平成20年度) 日本材料学会・マイクロマテリアル部門委員会委員 日本機械学会・中四国機素潤滑設計技術研究会委員 日本造船工業会-小委員会/ 有識者委員(平成25、26年度) 日本マリンエンジニアリング学会 論文賞受賞(令和3年度)
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