受講概要
受講形式 会場・WEB 受講対象 企業の研究・開発・設計の技術スタッフの方で中堅クラスの方が望ましい。 ただし、内容にかなり幅を持たせているつもりですので、 前記部署の若手の方や品質保証部門の方にも概要は掴んでいただけると考えております。 予備知識 その都度説明しますので現役の技術者の方であれば特に問題ないが、 予備知識として大学学部程度の電磁気学、電気回路学、電子回路を習得されていればより理解が進みます。 習得知識 1)電磁環境に関する基礎知識 2)電子機器そのものにおけるEMC 性能を向上させるための設計のポイント。 3)システム化・車載化する際にEMC 性能を向上させるための設計のポイント。 4)電子機器のEMC-DR を行なう際にレビュアとして必要な基礎知識。 講師の言葉 近年の自動車はCASE時代の到来も相まって著しく高度に電子化され、ノイズ対応設計や対策の難しさは増大する一方です。自動運転化の進展に伴う情報処理量の増大は電子機器や通信線にこれまで以上の高速・高周波化を要求し、電動車両の増大はハイパワーな電流の高調波の増大をもたらします。また、これら夥しい数の電気電子機器が狭い車体内に高密度に搭載され、複雑なワイヤハーネスによってシステム化されています。 これらを背景に、ここでは基本に忠実なノイズ対応設計を目指して、システムとコンポーネントの問題の切り分けから、適切な回路基板設計やデカップリング、筐体への装着におけるグラウンド等の取り扱い、適切な筐体・シールドの形状や電磁波吸収体使用の是非、システム化におけるワイヤハーネス、シールド線の配線処理・接地処理などについて述べさせて頂きます。なお、極力、実製品の事例や実験事例に基づいて物理的な考察を加え、技術者の方の腑に落ちる様な解説を行いたいと考えます。 高い周波数までの広範囲なノイズを考慮しなければならなくなった現代において、旧い規格やこれまでの設計慣習に囚われているがために問題となっている部分を発見して頂ければ、尚更、幸甚に思います。
プログラム
1 車載電気電子システムを取り巻くEMC環境 1-1 車載電気電子システムを取り巻くEMC環境と規制/試験の概要 ~車載用と他分野における電気電子システムの共通点と相違点~ 2-2 CASE時代における車載電気電子システムの動向と課題 ~機器の大電力化と高速/高周波化~ 2 電子機器ユニット単体とシステム化におけるノイズ対応の考え方 2-1 電気電子システムにおけるノイズの発生と伝播 ~ノーマルモードとコモンモードによるノイズの流れと他に与える影響~ 2-2 電子機器のユニット単体とシステム化における設計上の着眼点 ~ベンチと実車搭載の評価結果の違いの考察と設計・対策へのアプローチ~ 3 電子機器ユニット単体における対EMC設計 3-1 回路基板における流入出ノーマルモードノイズと放射の抑制 (1)回路基板内における高周波電力の伝送における実験事例と考察 ~高周波電力伝送の主役は往復配線の中の自由電子ではない~ (2)信号配線間クロストークと伝導流入出ノイズにおける実験事例と考察 ~主な要因は電界結合か電磁誘導結合かグラウンドバウンスか?~ (3)グラウンドパターン設計における事例と考察 ~回路目的毎のグラウンド分離は本当に必要か?~ (4)信号配線パターンとガードトレースにおける実験事例と考察 (5)多層基板における適切な層構成の事例と考察 (6)電子デバイスの選定と使用上の注意事項 3-2 電磁シールドの放射ノイズ抑制効果と弊害 (1)電磁シールドの原理と表皮効果等を含む実験事例と考察 (2)筐体の金属化が伝導流入出ノイズに及ぼす影響 ~回路や製品全体をただ金属で覆えば良いと思ってはいないか?~ (3)シールド筐体の適切な形状とグラウンド接続における実験事例と考察 ~シールド筐体の形状と接地状態が伝導流入出ノイズに及ぼす影響は大きい~ (4)電磁波吸収体のノイズ抑制効果と弊害における実験事例と考察 ~電磁波吸収体の取り扱いを誤ると基板配線間クロストークは増大してしまう~ 3-3 回路基板の筐体への装着と流入出コモンモードノイズの抑制 ~回路基板グラウンドの取り扱いはノイズの流入出に及ぼす影響が大きい~ (1)回路基板とグラウンド接続の事例と考察 (2)放熱設計が伝導ノイズの流入出に及ぼす影響と対策 4 電子機器ユニットの自動車への搭載とシステム化 4-1 搭載場所における電磁環境が電子機器に及ぼす影響と対策 (1)高周波システム間におけるクロストークと対策の事例 (2)低周波の電磁誘導による妨害と対策の事例 4-2 電子システム化におけるEMC問題への配慮 (1)コモンモード流入出ノイズによるEMIとEMSの対策事例と考察 (2)電動車両のシステム構成例とコモンモードノイズの経路 (3)電子機器間の接続を行うワイヤハーネスの考察 (4)シールドワイヤの配線処理と接地方法における実験事例と考察 ~配線端部の処理と外部導体接地点数などの考察~ 5 設計手順とEMC-DR 質疑・応答 講師紹介 略歴 1972年3月 東北大学工学部 通信工学科 卒業 2009年3月 名古屋工業大学大学院工学研究科博士後期課程 終了 1972年4月 日本電装株式会社(現在の株式会社デンソー)入社 VHF/UHF無線機、自動車用ソナー、ナビシステム、ボデー系電子機器などの車載電子機器の開発・量産化に 従事した後、携帯電話/自動車電話の品質保証部長を務め、その後 EMC 担当部長としてEMC 全社統括に従事。 2008年8月 定年退職、その後、再雇用され嘱託社員としてEMC全社対応に従事 2012年9月 株式会社クオルテックに入社~現在に至る 学協会活動 2002年7月~2007年7月 電子情報通信学会環境電磁工学研究専門委員会 委員 2002年7月~2012年8月 中部エレクトロニクス振興会電磁環境委員会 副委員長 2002年4月~2004年3月 自動車技術会電子電装部会CISPR分科会 幹事 2004年4月~2008年3月 自動車技術会電子電装部会 部会長 2006年10月~現在 日本能率協会企画委員会(EMC) 委員 所属学会 電気学会、電子情報通信学会、自動車技術会、各会員