受講概要
受講形式 会場、WEB 受講対象 自動車、鉄道車両、電気・電子部品、船舶などの産業で、構造接着(強靭な接着)に携わっている方々、及び異種材料の接着や構造接着に関する問題を抱えている方々。 予備知識 高校卒業程度の物理及び化学の基礎知識 習得知識 異種材料の構造接着に必要な以下の情報を習得できる。 1) 被着材の表面処理手法 2) 構造用接着剤に関する情報と製造ラインを想定した短時間接着への挑戦手法 3) 接着剤の性能を発揮させる接着接合部の設計上の注意点 4) 接着の力学的評価方法に関する情報 など 講師の言葉 接着における近年のキーワードは、「異種材料の接着」および「構造接着」である。この背景は自動車、鉄道車両および航空機の軽量化を目的に、鋼材の代替として、アルミニウムなどの軽量金属、CFRPやCFRTPなどの複合材料、エンプラおよびスーパーエンプラなどの使用が増えていることである。当然のことながら、「金属とプラスチックの接着」の様な異種材料の接合においては、溶接という最も一般的な接合技術が適用できない。ここに接着(接着剤接合)の出番がある。 この講座では、「異種材の最新接着技術及び構造接着技術と接着接合部評価」と題して、(1) 異種材料の接着、(2) 金属とプラスチックの接着、(3) 構造接着及び構造用接着剤、(4) 接着設計及び接着評価について基盤及び最新情報を提供する。
プログラム
(1)異種材料の接着 1.1 接合手法の種類と特性(接合手法の長所・短所) 1.2 何故、異種材料の接着なの? 1.3 接着の阻害因子 1.4 構造接着の信頼性を達成するための基本条件 1.5 接着の破壊モデル 1.6 異種金属の接合方法 (2)金属とプラスチックの接着 2.1 金属とプラスチック接着の概要 2.2 金属表面の模式図 2.3 金属材料の特性(熱膨張係数) 2.4 水溶液中における金属の標準電極電位 2.5 プラスチックの特性 2.6 被着材の表面処理&表面改質 2.6.1 表面処理の工法 2.6.2 金属表面の脱脂・研磨 2.6.3 プラスチックの表面処理 2.7 表面処理効果の判定 (3)構造接着&構造用接着剤 3.1 構造接着&構造用接着剤とは 3.2 構造用接着剤の性能規格 3.3 エポキシ樹脂系構造用接着剤 3.4 第二世代のアクリル系接着剤 3.5 ポリウレタン系構造用接着剤 3.6 エポキシ-変成シリコーンハイブリッド接着剤 3.7 日本の構造用接着剤の現状 3.8 二液定量混合吐出装置(二液性タイプを一液性タイプとして) 3.9 短時間接着へのアプローチ (4)接着設計&接着評価 4.1 応力の基本形 4.2 せん断試験片の変形と応力分布 4.3 せん断接着強さに及ぼす重ね長さの影響 4.4 重ね合わせの長さと破壊強度の関係 4.5 疲労強さに及ぼす板厚の影響 4.6 せん断及びはく離接着強さと接着層の厚さの関係 4.7 重ね接合部の板厚さと重ね長さ、破壊荷重の相関性 4.8 接合係数とせん断強さの関係 4.9 接着剤接合部の設計・重ね継ぎ 4.10 接着剤のフィレット形成能 4.11 外部応力と適応接着剤の関係 4.12 接着強さ試験項目&被着材の試験方法 4.13 標準的な接着試験片 4.14 接着・接着剤の信頼性評価 4.15 信頼性評価のための耐久性・疲労試験方法 4.16 接着剤の引っ張りせん断疲れ特性試験 4.17 構造用接着接合品の耐久性試験方法 4.18 くさび衝撃法 4.19 突き合せ接合-中空円筒ねじり試験方法 4.20 接着剤の硬化物で測定される代表的特性 4.21 接着接合部の耐久性 質疑・応答 講師紹介 略歴 1967年 東京理科大学理学部応用化学科卒業、ノガワケミカル(株)入社。 1967年~1970年 通商産業省(現 経済産業省)工業技術院東京工業試験所(現 産業技術総合研究所)に出向、高分子合成の研究に従事。その後、ノガワケミカルにて、新規接着剤の開発、技術サービス、販売、製造などの実務と管理・監督業務に携わる。 2000年に代表取締役社長、2007年に取締役退任。 同年接着・粘着・シーリングの技術コンサルタント事務所のエーピーエス リサーチを設立。 学会等 (一社)日本接着学会 副会長 日本接着剤工業会 副会長 解体性接着技術研究会 会長 (NPO法人)接着・接着剤評価技術研究会 理事などの要職を歴任。 著書著書 「接着管理(上)(下)」(高分子刊行会)、「接着技術ノウハウ(基礎編)(応用編)」(日経BP社)、「自動車の軽量化を支える異種材料接着技術」(日経BP社)、「Q&A形式で学ぶ接着・接合技術」(And Tech)など著書多数。