受講概要
受講形式 会場・WEB 受講対象 企業の技術,設備,製造,品質管理,設計,研究・開発部門のスタッフ 予備知識 必ずしも必要ありませんが、できればあった方がよい知識 ・流体力学 ・機械材料学 習得知識 1)キャビテーションの発生原因 2)キャビテーションのタイプ 3)キャビテーション発生の解析方法 4)気泡の発生,崩壊の機構 5)損傷機構 6)損傷対策 講師の言葉 流体を取扱う機械や部材では,装置の小型化,高速化を推し進めるときに必ず直面する 問題がキャビテーションです。キャビテーションは,流速の増加に伴って発生する気泡の 連続的な発生及び消滅現象であり,キャビテーションが発生すると,性能は低下し,振動, 騒音が発生するだけでなく,部材が損傷して装置を破壊するなどの様々なトラブルが発生 します。 こうした問題を解決するには,キャビテーションの発生メカニズム,発生条件,損傷 メカニズム,損傷に影響する因子を十分に理解し,把握しておく必要があります。 キャビテーションが発生しない条件で設計するのが望ましいが,過酷な使用条件により キャビテーションが発生してしまった場合に対処方法について材料面からのアプローチに より解決する手法について解説します。 本セミナーの講師は、キャビテーション損傷の問題に30年以上取組んでいる日本でも 数少ない研究者です。
プログラム
Ⅰ.キャビテーションの基礎 1. キャビテーションの発生原因 2. キャビテーションの様子と分類 Ⅱ.気泡の発生及び崩壊のメカニズム 1. 気泡の発生条件 2. キャビテーション数の定義 3. 気泡崩壊のメカニズム 4. Rayleigh Plessetの式 Ⅲ.キャビテーション損傷の事例 1. 気泡崩壊による圧力 2. 船のスクリュー 3. 弁の壊食 4. ポンプの壊食 5. エンジンでの壊食 Ⅳ.キャビテーション試験装置 磁わい振動装置とキャビテーション噴流試験装置 Ⅴ.損傷のメカニズム 1. 気泡崩壊時の圧力 2. 各種金属材料の損傷過程 Ⅵ.損傷に影響を及ぼす因子 1. 粘性 2. 温度 3. 音響インピーダンス 4. 流速 5. キャビテーション数 6. 振幅 Ⅶ.各種工業材料の損傷 1. 炭素鋼 2. ステンレス鋼(含二相ステンレス鋼) 3. 鋳鉄 4. 銅合金,チタン合金 5. プラスチック Ⅷ.実機でのキャビテーション対策 1. ポンプ,水車,プロペラ,オリフィス,バルブでの対策 2. 表面被覆材料 Ⅸ.キャビテーション壊食に関する最近の話題 講師紹介 1978.3 立命館大学理工学研究科博士課程機械工学専攻修了 1980.3 工学博士(立命館大学) 1980.12 福井大学工学部助手 1982.9 アメリカ合衆国ミシガン大学にて共同研究(1年間) 1984.9 アメリカ合衆国NASAルイス研究所(現グレン研究所)にて共同研究(1年間) 1991.6 福井大学工学部助教授 1995.10 フランスグルノーブル大学機械研究所にて共同研究(2ヶ月) 1998.3 福井大学工学部教授 2006.4 福井大学大学院教授 2015.3 福井大学定年退職 2015.3 福井大学名誉教授 著作 1. 新版キャビテーション-基礎と最近の進歩― 分担執筆,槇書店(2015) 2.Advanced experimental and numerical techniques for cavitation erosion prediction (キャビテーション壊食予測に関する先進的な実験技術と数値解析技術) 分担執筆 Springer(2014) 3.ターボ機械協会指針,ポンプのキャビテーション損傷の予測と評価 分担執筆,ターボ機械協会(2011) 4.その他の著書 3編 5.学術論文 103編 所属学会・役職 【日本機械学会,ターボ機械協会,日本眼鏡学会】 日本機械学会 フェロー会員(2006.3から2015.3),永年会員(2015.4~現在) 日本機械学会 北陸信越支部長(2014.3~2015.3) 日本材料学会 北陸信越支部長(2007.5~2009.5) ターボ機械協会 理事 代議員(2009.5~現在) ターボ機械協会 ポンプのキャビテーション研究分科会 主査(2009.5~2015.5) 日本眼鏡学会 理事(1997.5~現在) 日本眼鏡普及光学機器検査協会 理事長(2020.7~現在)