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重要設計品質問題ゼロを達成するための

過去トラを使った設計品質不具合の未然防止法

エレクトロニクス機械

設計品質不具合未然防止のための使いやすい過去トラ集(不具合事例集),気づきのキーワード集,
  機能展開FMEA,デザインレビューの進め方について演習を交えて解説する特別セミナー!!

講師

株式会社ワールドテック 講師 本田 陽広 先生
  (株)デンソーにて開発・設計業務改善に従事の後退職,現在に至る

日時
会場

連合会館 (東京・お茶の水)

会場案内

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受講料
1名:48,600円 同時複数人数申込みの場合 1名:43,200円
テキスト

受講概要

受講対象

 ・(企業の)設計管理職の方、設計品質改善に携わっている方
 ・品質保証部門の方

予備知識

 ・技術系の基礎知識があれば、それ以上特に必要としません。
  基礎からわかりやすく解説します

習得知識

 (1) 設計開発段階の手戻りが防げます。
 (2) 重要品質問題「0」を達成できます。
 (3) FMEAの先生にやり方を習って、「FMEAを実施しても何の役にも立たない」を解消できます。
 (4) レビュー会議の「活発な議論にならない」「議論が発散する」「一方的な設計説明で終わる」「形式的なDRになっている」「専門家が出席してくれない」が解消できます。
 (5) 過去トラ集(不具合事例集)や、ノウハウを蓄積している会社は多いですが、有効活用をしている会社は、ほとんどありません。
  過去トラ集は、使って「なんぼ」です。いくら、蓄積しても、何の役にも立ちません。過去トラ集を使いやすく加工し直す事が重要であり、そのやり方がわかる。
 (6) 管理面(ex.課題解決能力不足や、守れないルールの改善。守れないルールは悪いルールである。など) の改善が不可欠であり、
  品質問題を起こしたら、常に反省して、継続的改善する事が重要である事が実感できます。

講師の言葉

 近年、社会の品質意識が変化し、消費者保護の観点から市場対策費用は著しく増加している。この品質問題を分析してみると、
その原因は既知のもの(過去トラの再発)が多く、設計者およびデザインレビュー審議者が気づかなかったために見逃した事例が多い。
 これは、全社のノウハウ、過去トラ(失敗事例)を共有化し、活用し易い環境で十分検討すれば、設計段階で気づくことができ、
未然防止が可能である事を示している。
 講師の元職場では、設計起因品質問題の予防のために、設計者や審議者が心配点に気づく画期的な道具(使いやすい過去トラ集)を開発し、
その道具を使用して、デザインレビューを実施し、効果を上げた。設計の品質問題を減らす取り組みは、どこでも実施されている。
 しかし、品質問題を「0」にする取り組みは、非常に難しく、達成するには、知恵と工夫が必要である。この目標を達成し、
元職場の事業部としてデミング賞を受賞したので紹介する。
 研修の狙いは三つ。1.FMEAの効果的な実施方法2.デザインレビューの効果的な実施方法3.管理面(人材育成、しくみ)の改善の必要性である。

プログラム

1. はじめに(FMEAの説明と仕事の重要ポイント)
 FMEAとデザインレビューとは何かの説明と、FMEA、デザインレビューをうまくやるポイントを説明する。
 そのあと、重要品質問題を無くすための設計業務のポイントを先に説明する。
2.  設計不具合の反省
 実際の不具合事例をもとに、どう品質問題を防げば良いか考える。
(1) 品質問題の分析
 設計者や、DRなどの会議(チーム活動)の審議者の「心配点に気づく」技術力不足が原因。
(2) 心配点に気づくための仕組みづくり
 品質問題を無くすには、技術力、しくみの改善が必要だが、抜けのない心配点を抽出できる道具(過去トラを活用する道具)が不可欠。
3.未然防止の活動事例
 開発した、品質問題未然防止の道具について説明する。
 その後、この道具を、FMEA作成やデザインレビュー時にどう使うのか説明する。
 3.1.気づき能力強化FMEA作成や、チーム活動の道具
 (1)FMEA辞書
  過去トラ他の蓄積ノウハウを共有化し、作り易くかつ、活用しやすく編集した倉庫。分野別(材料、処理、加工のメカ関係、
  電気電子回路設計、ソフト設計に至るまで)の設計留意点、過去トラ(故障事例)や、元職場の事業部製品の基盤技術や、
  チェックの道具等が入っている。
 (2) 気づきのキーワード集
  A4裏表1枚で作成した、①分野別の過去トラ要因と故障モードの文言集(ex.ウィスカでショート、繰り返し応力で破損 など)と、
  ②過去トラストレス(使用環境条件)の文言集。
 (3)マクロFMEA作成シート
  資料無しで、FMEA作成しながら、気付かなかった心配点を抜けなく出せるように、エクセルのマクロ機能を利用して
  「気づきのキーワード集」をFMEA作成用紙に入れた物。
 (4)機能展開FMEA
  5の演習(FMEAの演習)は、元会社で開発した、エネルギー(ex.電気の流れ、電磁力、力の伝達経路など)の流れ順に
  検討するFMEAのやり方で実施する。これは、従来のFMEAの、構成部品別に解析するので部品間(ex.かしめ、圧入、溶接など)の
  心配点を抽出できないとか、文字の羅列が多く、事象間の因果関係が判り難いといった欠点を改善した手法である。
 (5)まとめ
  設計者と言っても、ベテランもいれば、初心者もいる。それぞれの能力に合わせた見やすい過去トラ(不具合事例)集がないと、
  設計者は忙しい時には、使わない。FMEA辞書は初心者が使い、キーワード集はベテランが使って効果を上げている。
  道具を作成する時の注意点は、①使用者側の立場で、使い勝手優先で作る事。②まず要点またはチェックリスト、
  その後 詳細説明資料を作る事である。
 3.2. 気づきの道具を活用したFMEAのDR (チーム活動) 改善 1回のDRで、性能、信頼性、価格、納期の全ての議論を
  実施するのは不可能である。よって、①早めに、議論ポイントを分けて(ex.品質関係のみとか)実施。②時間切れで終わらない。
  ③日を変えて何度も実施することが大事である。FMEAのデザインレビューのやり方を、事例を使って説明する。
 (1) 実施計画(新規点・変化点の明確化)
 ① まず、新規点変更点と使用環境条件を明確化する。
 ② 議論ポイントを分けて実施する計画を作る。
 (2) 実施方法(心配点の抽出)                            
 ① プロジェクターを2台使って、片方はFMEA辞書のような過去トラ集、片方は設計者が作ったFMEAを映して議論する。
 ② 司会者の能力で成果が決まるので、司会者の注意事項集を作ると良い。(ex.・FMEA-DRの心構え・気づきのための
  質問集・物を見る心構え・議論の着眼点・司会者の心がける事・FMEA-DR実施要領など)
(3)心配点に気づく道具の効果
 ①5年で、設計が図面を製造部に渡して、量産されるまでの設計変更件数を「0」にした。
 ②事業部のクレーム率が1/3以下に減少。
4. 管理面(人材育成、しくみ)の改善
 品質問題がなぜ起きたのか反省すると、ハード面の歯止めだけでなく、管理面の改善をしないと、予防品質は不可能である。
 品質問題の多くは、設計者の問題ではなく、管理面が原因である事が多い。管理面の改善事例について説明する。
 (1) 人材育成
 「作り方知らず、プレスR 外側に指示した」「バラツキを考えていなかった」という不具合を反省した設計者基礎教育 他
 (2)マネジメントの改善
 「グループリーダーが部下に仕事丸投げ」「課題解決能力不足で課題放置」を反省して、部下指導力、課題解決のしくみ制定他
 (3)しくみの改善 
 「試作問題繰り返し、納期延期」「伝承技術が後輩に伝わらず」を解決するために、事業部独自DRの追加他
5. FMEAの演習
 簡単な事例で、FMEAを実施してみる。
 紙を挟む「ラクリップ」のレバーを金属製からABS樹脂製に変更した時のFMEAを、エネルギーの流れに従って実施する。

講師紹介

 1975年、株式会社デンソー(旧:日本電装(株))に入社。
 ディーゼル噴射技術部にて、独自のディーゼル機関用噴射ポンプを開発し、量産化。ガソリン噴射技術部にて、
 ガソリンエンジン用ポンプ、電子スロットルを開発。その後、機能品事業部にて品質リーダーとなり、
 設計業務改善に取り組む。
 2008年、予防品質設計業務改善で日科技連((一財)日本科学技術連盟)のデミング賞、品質革新賞受賞、
 2010年、オールトヨタTQM大会にて優秀賞受賞、2011年、品質管理学会より、著作JSQC選書「FMEA辞書」を発刊。
 2014年、株式会社デンソー退社後、同年より(株)ワールドテック講師。
・著作:「FMEA辞書」(一財)日本規格協会発行、(一財)日本品質管理学会(JSOC)監修、2011年5月発刊