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医薬品原薬のスケールアップのトラブルをなくすための

原薬・中間体製造におけるスケールアップとトラブル対策

医薬

原薬・中間体製造におけるスケールアップにおけるステージごとの注意点・着目点,失敗例と対処方法,同等性評価,
   プロセス開発に役立つ実験方法について経験を踏まえて解説する特別セミナー!!

講師

株式会社三和ケミファ 医薬品事業部 統括本部長 薬剤師 薬学博士 丸橋 和夫 先生
  和光純薬工業(株)大鵬薬品工業(株)等を経て現職
  約36年間医薬品中間体・原薬の商用生産に関する業務を担当

日時
会場

連合会館 (東京・お茶の水)

会場案内

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受講料
1名:48,600円 同時複数人数申込みの場合 1名:43,200円
テキスト

受講概要

予備知識

 有機化学、GMPの予備知識があれば理解しやすいと思います。

習得知識

 1)スケールアップの考え方、ポイント、着目点。
 2)医薬品原薬の開発段階に応じた変更管理の考え方。
 3)スケールアップの失敗例、その原因、解決策。
 4)スケールアップ前後の同等性の考え方。
 5)スケールアップ・スケールダウン実験の考え方、進め方。

講師の言葉

 医薬品原薬のスケールアップ製造は医薬品の開発では絶対に避けられない部分である。候補化合物の選定に始まり、前臨床試験、
臨床試験用の原薬製造、更に上市を前提とした開発期間中のスケールアップ製造は治験薬GMPに基づく管理が求められ、特に、
前臨床試験で使用したバイオバッチ原薬を基本に、臨床試験で使用する治験薬、その後の商用生産の原薬まで不純物プロファイル、
結晶多形等の物理的性質などについてその一貫性が求められ、その進め方を誤ると開発期間延長になるなど影響が大きい。
 開発初期の検討段階では合成プロセス、出発原料の変更のような大幅な変更も可能であるが、開発段階が進むにつれ変更は
困難となり、逆に設定したパラメータの不足部分や不都合部分がわかるようになってくる。特に商用生産に至ってからの変更は
時間、コストもバカにならない。
 スケールアップすれば必ずその前後の同等性評価が必要となるので同等性評価の考え方についても説明する。原薬、中間体の
スケールアップ製造では各ステージごとに注意点、着目点が異なる。
 約36年の経験からであるが、原薬、中間体のスケールアップ製造で実際に経験した代表的な例(失敗例)を参考に、各ステージの
スケールアップのポイント(考え方)、実際にどのように対処、解決したかを説明する。更にそこから得られた知見をもとに
その後プロセス開発に役立つ実験法を種々工夫した。実験方法についてもあわせて紹介する。

プログラム

1.医薬品(原薬)の開発とスケールアップ(基本的な考え方)
2.スケールとスケールアップの相違点
  小スケールとスケールアップのパラメータの比較と考え方、設定法
3.スケールアップ実験するためのチェックポイント、考え方
  原料、中間体の評価項目(安全性、安定性、結晶多形、溶媒和他)とその対応策
4.スケールアップを想定した実験法(スケールダウン実験)
  いくつかの具体例をもとに
5.コスト・時間短縮の実例
 (1) 事例1. プロセスの短縮(7日近くかかるプロセス(反応→抽出→濃縮→晶析→乾燥)を2日に短縮。)
 (2) 事例1から考えられる操作簡略化、時間短縮の応用例。
 (3) プロセスを元に設備設計、設備を元にプロセス設計(考え方)
6.スケールアップでの失敗例(実際の経験から)と対応策
 (1)開発初期(実験室~10Lスケール)の事例
 ・転位反応:1gから10gにスケールアップしたら転位反応が原因で目的物が得られなくなった。
 ・ビタミンC硫酸エステル誘導体の製造:1gスケールでは目的物が合成できたが、10gスケールでは合成不可の結果となった。
 ・ピリジン・無水硫酸錯体(硫酸エステル化剤)の合成:吸湿性が原因で目的物が得られないと判断したが、実験の結果、逆に吸湿性を利用することで大量生産可能な方法を見出した。
 ・酒石酸イフェンプロジルの合成:発想を変えたら、新しい製法に結びついた。
 ・ペントキシフィリン中間体の製法検討:文献を参考に実験を進めたが目的物は得られず、実験結果に基づいて検討を進めたところ、簡単な製法にたどり着いた。
 ・DDS基材(合成リン脂質)の開発:臨床試験前に問題点発覚。原因究明したところいろいろなことがわかった。
 ・抗生物質の側鎖の製造:新合成法を考案し、特許出願までしたが、中間体に安全性の問題あることがわかり、検討中止。
 ・五塩化リンによるクロル化プロセス:溶媒を変更したら反応が進まなくなった。
 ・アルキルホルムイミデート類の合成:青酸ガスを使用しなければならない!
 ・カラム分離工程の回避:前臨床試験に進むことが決まり、カラム分離工程回避の必要性が出てきた。
 ・エステルの選択(アミノチアゾール誘導体):メチルエステル、エチルエステルの比較実験をして相違点(物性)を確認、合理的な合成法に至った。
 ・その他
 (2)パイロット試作(200~500Lスケール)での事例
 ・ジクロルアセトニトリルの製造:設備の性能を安易に考えて刺激性のミストが噴出した。
 ・アミノチアジアゾール誘導体の製造:設備の性能を安易に考えてオーバー反応してしまった。
 ・塩酸ペンタゾシンの中間体の製造:スケールアップして中間体を大量合成したら分解してしまった。
 ・アミノチアゾール酢酸誘導体の製造:再結晶プロセスをスケールアップしたら目的物が得られなくなった。
 ・臭素化プロセスのスケールアップ:パイロットにスケールアップしたところ、反応開始を確認できず、大きなトラブルに陥りそうになった。対処法を検討した結果、合理的かつ安全なプロセス開発に至った。
 ・撹拌速度の影響:アセトン/炭酸カリウム系でのアルキル化反応。不均一反応の代表的な例。
 ・生分解性ポリマーの合成法:外国特許出願したが、特許とならなかった。
 ・結晶多形の同等性:外部委託したら結晶形で同等性の問題が発生。
 ・その他
 (3)パイロットから商用生産(2000Lスケール以上)での事例
 ・微量の添加剤の影響:2工程先の抽出・分液工程で問題(エマルジョン)発生。
 ・PhaseⅢ試験後の製法変更:爆発性の中間体を経由するためスケールアップ製造できずPhaseⅢ試験が終わってしまった。
 ・目標規格の原料が手に入らない:商用生産に入ろうとしたら原料が入手できなくなった。
 ・設備変更して反応の本来の姿がわかった:パイロットまでGL、商用生産でSUSに切り替えたところ錆が発生。
 ・アミノチアゾール酢酸製造のスケールアップ:パイロットまでは問題なかったが、商用生産で乾燥機の選択を誤った。
 ・キャンペーン生産:スポット生産では問題なかったエステル交換反応を、キャンペーン生産に切り替えたところエステル交換反応が進まなくなった。
 ・溶媒回収できる条件でプロセスを設計:溶媒回収しないと採算が合わなくなった。
 ・残留溶媒の規格:商用生産に移行しようとしたら残留溶媒の問題発生。
 ・出発原料の製法に伴う問題(製法に伴う異性体混入の可能性)
 (4)商用生産開始後の事例
 ・収量低下の逸脱:原料の溶解時間の影響
 ・技術移転:季節の影響まで考えていなかった。
 ・原料の純度をアップ:高純度品の原料に切り替えた途端に逸脱-不純物除去の仕組みの理解不足-
 ・乾燥時間の管理:順調に商用生産がスタートしたが、突然製品の乾燥時間が2倍(10時間→20時間)になった。
 ・その他
7.その他、質疑応答

講師紹介

<略 歴>
1979.3 岐阜薬科大学大学院博士後期課程中退
1979.4 和光純薬工業株式会社入社、東京研究所主席研究員を経て、
1991.10 大鵬薬品工業株式会社入社、工業化技術研究所所長、合成技術研究所所長を経て、
2007.7 三菱商事株式会社入社、先端化学品本部技術顧問(兼)常熟力菱精化工有限公司(中国、常熟市)研開部本部長を経て、
2008.7 株式会社エースジャパン入社、常務取締役山形工場長を経て、
2015.4 株式会社三和ケミファ入社、現在に至る。

<著作> 
 分担執筆
1)高純度化技術体系 第3巻 高純度物質製造プロセス
生理活性有機化合物の分離精製・高純度化 “医薬品原薬の精製技術” フジテクノシステム(1997年発刊)
2)原薬輸入・海外調達における課題/薬事規制への対応 第6章 海外製造業者との取り引きの際における留意点 株式会社情報機構(2010年8月発刊)
3)3極要求を反映したGMP-SOP全集 第2章3極査察を見据えた原薬・製剤プロセスバリデーションの実施と手順書作成 第1節原薬のプロセスバリデーション実施とその手順書 サイエンス&テクノロジー(2011年6月発刊)
4)3極要求相違を踏まえたCMC申請資料作成と当局対応ノウハウ IND申請におけるCMCパートでの記載要求事項 第6章 IND申請における原薬欄記載の留意点
サイエンス&テクノロジー(2012年2月発刊)
5)GMP・バリデーション 実務バイブル 第1部 プロセスバリデーションの具体的実施方法と文書作成の留意点 株式会社技術情報協会(2012年6月発刊)
6)中国製造所 への医薬品製造委託・監査・バリデーション実施及び海外からの輸入・調達時のポイント 第4章 生産移管、製造アウトソーシングの留意点
  株式会社情報機構(2012年11月発刊)
7)GDP徹底理解
  第7章 GDP査察への対応 規制当局の査察動向および事例等    株式会社情報機構(2014年発刊)
8)月刊ファームステージ ICHQ11(原薬開発)の業務への落とし込みと運用 ICHQ11が求める原薬製造のプロセスバリデーション 株式会社技術情報協会(2015年7月発刊)
9)月刊ファームステージ 特集1『原薬・製剤・資材の保管と管理』原料・資材等の適切な管理方法 株式会社技術情報協会(2016年11月発刊予定)
10)治験用原薬製造の留意点、GDPについて、2件 原稿準備中

<執筆協力>
1)医学・薬学・化学領域の独英和活用大辞典 -日・独・英三か国語対照-
岐阜薬科大学教授 河辺 実 編著 (廣川書店より1984年刊)

<所属学会・協会および役職・活動状況> 
日本薬学会、米国化学会、PDA学会 会員
約36年医薬品中間体、原薬の商用生産に関する業務を担当。この間、治験薬品質管理者(原薬)、医薬品製造管理者(5年)も担当。