プラスチック部品の強度設計上の注意点,応力集中の影響,金属の強度設計との相違点,
射出成形による機械的性質の変化等プラスチック部品を壊さないようにするための実用的設計手法を解説する特別セミナー!!
- 講師
TMEC技術士事務所 所長 技術士(機械)CPD認定会員 遠田 治正 先生
三菱電機(株)にて研究・開発・設計・技術教育に従事の後,現職
著書:「強度検討のミスをなくすCAEのための材料力学」(日刊工業新聞社)
- 日時
- 会場
- 受講料
- 1名:48,600円 同時複数人数申込みの場合 1名:43,200円
- テキスト
受講概要
受講対象
1)機械装置メーカー・機械部品メーカーなどの設計者。 2)プラスチックの合理的な強度評価方法を学びたい技術者。 3)設計経験が長い設計者,または,強度評価で困ったことのある設計者には最適。
予備知識
1)力,モーメント,変位の定義と単位が理解できていること。 2)応力,ひずみ,弾性係数の定義と単位が理解できていること。 3)一様断面棒を引張ったときの応力とひずみの計算ができること。
習得知識
1)プラスチックの強度評価の着眼点が理解できる。 2)プラスチックの強度検討に必要な材料力学の知識を効率良く修得することができる。 3)応力集中部の強度の確保の仕方がわかるようになる。 4)形状の変更に伴う発生応力の増減が把握できるようになる。 5)CAEを使わなくても,強度検討ができるようになる。
講師の言葉
21世紀に入ってからのプラスチック材料の進歩は目覚しく,かつては金属材料が当然であった歯車のような 部品にさえも使用されるようになっています。 しかし,強度部材としてプラスチックは,成形過程で発生する現象や常温で発生するクリープなど,金属では 無関係であった挙動に注意する必要があります。 また,圧入やねじ接合では,金属のような高精度の強度評価が困難であるのも悩みです。 一般のプラスチック関係のセミナーでは,材料や成形の専門家が講師を担当し,材料の製造や成形過程を中心に 解説するのが普通です。しかしそこで使用される用語は機械技術者にとって馴染みのないものが多く,理解に 至らないのが普通です。 本セミナーでは,長年構造の強度の検討に従事してきた講師が,プラスチックの強度設計に的を絞り, プラスチック部品を壊さないようにするための実用的な設計手法を,機械技術者が理解しやすいように講義します。
プログラム
PartⅠ-金属の性質との相違点の理解のために 1.プラスチックの種類と用途 1.1 モノマーとポリマー 1.2 「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」 1.3 「熱可塑性樹脂」の分類 ~エンプラ,スーパーエンプラ 1.4 「熱可塑性樹脂」の繊維強化 1.5 金属の挙動との類似点と相違点 2.プラスチック部品の強度設計上の注意点 2.1 プラスチックの強度の指標 2.2 プラスチックと金属との類似・相違 2.3 プラスチックの強度設計上の留意点 ・強度が低い ・高温に弱い ・温度変化で変化~軟化・脆化・クリープ ・日射(紫外線)に弱い ・有機溶剤・化学薬品に弱い ・老化と劣化が起きる PartⅡ-金属の強度設計との共通点 3.材料力学の基礎 3.1 応力 3.2 ひずみとポアソン比 3.3 応力とひずみの関係~フックの法則 3.4 応力-ひずみ線図 3.5 主応力とミーゼスの相当応力 4.応力集中と強度に及ぼす影響 4.1 応力集中係数α 4.2 応力集中の発生原因と特異点 4.3 応力集中が強度低下に及ぼす影響 4.4 応力集中係数の見積り方 4.5 力の流線と応力の大小の判定 5.強度評価の方法 5.1 破壊の仕方の種類と強度評価方法 5.2 安全率の設定の仕方 5.3 静的強度の評価方法 静的強度の値の関係・推測方法 5.4 疲労強度の評価方法 疲労限度・S-N線図の推測方法 5.5 衝撃破壊強度の評価方法 5.6 クリープ破壊強度の評価方法 PartⅢ-金属の強度設計との相違点 6.射出成形による機械的性質の変化・低下 6.1 発生欠陥 6.2 ウェルド・ライン 6.3 残留ひずみ・分子配向ひずみ 6.4 再生材の劣化 6.5 添加剤の影響 6.6 繊維強化の挙動把握 7.プラスチックで要注意の強度評価 7.1 圧入 7.2 インサート成形 7.3 ねじ接合部 7.4 熱劣化寿命・加水分解寿命 7.5 繊維強化特有の弱点 8.プラスチックのCAE解析 8.1 流動解析 ~最も基本的な解析 8.2 残留応力・ねじれ・そりの変形解析
講師紹介
1974年 東京大学工学部 精密機械工学科 卒業 1974年 三菱電機株式会社入社,大型発電機の強度に関する研究に従事 構造解析,材料試験,疲労破壊対策,CAEの設計への適用を担当 1985年 フランス留学,クリープの研究に従事 アルミナの高温での挙動の実測・解析を担当 1987年 大型天体望遠鏡「すばる」の構造設計に従事 設計論に沿った開発設計を担当 1990年 社内3D-CAD・CAEの利用普及活動,携帯電話の構造設計に従事 携帯電話およびプラスチックの衝撃破壊強度の評価方法を確立 1994年 三菱電機グループ内機械技術者教育に専従 材料力学,3次元CAD,CAE解析などの各技術の教育, それらの設計への効果的な適用に関する教育, 3次元CADの利用による設計者CAEの推進教育などを担当 2008年 技術士(機械部門)取得 2010年 三菱電機を定年退職,TMEC技術士事務所設立 機械設計技術コンサルタント活動を展開中 著書 2015年3月 「強度検討のミスをなくす CAEのための材料力学 」,日刊工業新聞社 著作(2011年以降) 2011年1月 「製品設計を変えるCAE活用術」 (機械設計 総論)日刊工業新聞社 2012年3月 「壊れない機器を設計する簡単メソッド-実践材料力学 初級編」 (機械設計 特集記事)日刊工業新聞社 2013年5月 「CAEを正しく使いこなす有限要素法の基礎」 (機械設計 特集記事)日刊工業新聞社 2014年7月 「壊れない機器を設計する簡単メソッド-実践材料力学 中級編 -応力集中を制す!」 (機械設計 特集記事)日刊工業新聞社 2015年4月 「CAEと設計者-設計者CAEの推進を妨げる5つの勘違い」, (機械設計 特集記事)日刊工業新聞社 2016年3月 「メカ屋の生活:学校では教えてくれない!機械設計の勘どころ」, (日本機械学会誌,Vol.119,No.1168,メカライフ特集)日本機械学会誌 2016年4月 「育成担当者に贈る ワンポイントアドバイス」, (機械設計 Column)日刊工業新聞社 所属学会・協会 日本技術士会, 日本機械学会 非常勤講師 大阪市立大学工学部(1996~1999), 東京大学大学院工学系研究科(2000~2001) 大阪大学工学部(2007~2009)