
ICH-Q8製剤開発ガイドライン,技術移転上の注意点,技術移転でのレギュレーション上で考慮すべき点,製造所変更上の課題について,豊富な具体的事例を交え,実務で実践できるよう解説する特別セミナー!!
- 講師
株式会社ミノファーゲン製薬 顧問 脇坂 盛雄 先生
元 エーザイ 品質保証責任者
- 日時
- 2025/5/14(水) 10:00〜16:30
- 会場
- ※本セミナーはWEB受講のみとなります。
- 受講料
- (消費税率10%込)1名:49,500円 同一セミナー同一企業同時複数人数申込みの場合 1名:44,000円
- テキスト
- PDF資料(受講料に含む)
受講概要
- 受講形式
WEB受講のみ
※本セミナーは、Zoomシステムを利用したオンライン配信となります。
- 受講対象
特に制限はありません。
本テーマに関心のある方であればどなたでも受講可能。
- 予備知識
特に必要ありません。
- 習得知識
1)ICH-Q8製剤開発ガイドライン(通知)
2)技術移転上の注意点の事例
3)技術移転でのレギュレーション上で考慮すべき点
4)製造所変更上の課題について など
- 講師の言葉
自社製造にくらべ委託製造が増え、技術移転の機会が増えていることにより、技術移転はますます重要になってきている。トラブルは3H(初めて、変更、久しぶり)の時に起きやすいと言われ、まさに技術移転はトラブルの宝庫であり、それをいかに減らすかが重要になってくる。
技術移転とは新製品の設計部門から製造部門に移管することでもあり、製造所を変更することでもある。技術移転はできるだけ早く、コストを下げて行いたいとの考えがあり、一方ではミスを失くすために、慎重にあらゆるリスクを確認して行いたいという考えのせめぎ合いでもある。
さらに、2005年の改正薬事法により、製造販売承認書に製造場所並びに詳細な製造方法を記載することになったことで、技術だけの問題ではなく、レギュレーション上の対応も必須になってきた。
委託先のトラブルはまさに製販の責任です。また、販売会社にとっても自社のブランドを低下させます。技術移転できても、品質に問題が生じれば、それはきちんと技術移転できなかったことになります。品質保証を伴ってこそ技術移転ができたということです。
本講セミナーでは、過去の技術トランスファーの課題や失敗などから注意すべき点を紹介するとともに、レギュレーションの変更管理の事例についても紹介する。 委受託に関する製販の期待と受託側の強み並びに原薬製造所のGMP不備による製剤の回収についても紹介する。
- 受講者の声
非常に膨大な情報をありがとうございました。お聞きしたかったことは、製造所追加時の一変・軽微の判断でしたので、他の方のチャット内容と同じでした。私の担当はOTC製品ですがとても参考になりました。
他社の事例を知ることができ、大変勉強になりました。ありがとうございました。コーポレートQA、サイトQAやQCの事例が多かったと理解しましたが、他部署の技術移転内容を知ることができたため、自業務に活かせる点は活かしていきたいと思います。
あまり知る機会のない過去の失敗事例を非常に多く教えて頂き,自社を見直すいいきっかけとなりました.ぜひ,水平展開を考えたいと思います.また,そのような失敗が起こらないよう,しっかりとした技術移転が必要であること,技術移転の重要性を再認識できました.
実体験をいろいろとお話しいただき大変参考になりました。一方で,近年の技術移転におけるレギュレーションが学べるかと思い本セミナーを受講させていただきましたのでレギュレーションを満たすためのもう少し具体的な評価ポイント等伺えればと思いました。(例えば原薬変更の際には近年○○がよく指摘されているため変更の際には××の評価が必須である,のような)過去に経験された様々な事例を紹介いただきとても勉強になりました。
私はQC部門所属なので、試験方法の技術移転について特に興味を持って聞いていましたが、製造関連のトラブル事例からも学ぶことが多く、今後の技術移転の際にも参考にしたいと思いました。
プログラム
1.技術移転の抱える問題点
1)委託先の増加
2)グローバルな製剤の与える影響の大きさ
3)製造場所の自社以外の委託先との関係
4)原薬製造所の問題による、製剤の回収
5)レギュラトリーサイエンス エキスパート研修会 専門コース(第299回)
先発メーカーからの製造委託、4つの類型分類と特徴
2.技術移転のタイプ
1)設計部門から製造部門への技術移管
2)製造場所の変更
3)導入品の技術評価
4)承継に伴う製造サイト変更
5)連続生産などの改善に伴うライン新設
3.ICH8 製剤開発のガイドライン(通知)など
1)第1部 製剤開発に関するガイドライン
2)第2部 製剤開発に関するガイドライン 補遺
3)医薬品の最新の品質管理システムのあり方・手法に関する研究
「技術移転ガイドライン」
4.GMP適合性調査
1)GMP適合性調査について
2)書面調査/実査について
3)GMP,QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究成果(2023年9月1日
4)大阪府の査察
5.サイト変更の技術移転時のGMP/レギュレーション(軽微・一変)対応のポイント
1)軽微変更・一変申請の視点
・軽微変更(過去2年以内に同一ラインでのGMP適合性調査あり)
・迅速一変
・一部変更申請
・軽微と一変の中間の変更事項のレギュレーション見直し検討
2)品質面の評価の視点
6.技術移転時の品質トラブル事例
1)新製品のPV失敗
2)製造販売承認書齟齬発見(カルナロウバロウ他)
3)海外の製造所移管時に製造販売承認書通りに造れない(イタリア)
4)添加剤の銘柄追加に伴う品質トラブル(プエルトリコ)
5)再結晶のスケールを10倍にしたところ結晶形が変わり品質に影響
6)導入品の品質評価とその技術対応(欠けと溶出試験対応)
7)凍結乾燥製剤の移管時の製造上のゴム栓トラブル(機械適性)
8)アルミピロー包装のバリデーション不備によるピンフォール(米国&英国)
9)発がん性物質NDMAによる回収と今後の動き(EUの方針)
10)ドーパミング薬混入による回収とその対応
11)新製品の錠剤の捺印不備
12)コールドフォームのピンフォール
13)FDAのWarning Letterから県から操業停止処分
14)環境モニタリングのデータ不正
15)福井県の製薬会社(健康被害発生)の問題点
16)富山県の製薬会社(約100品目以上製品回収)の問題点
17)徳島県の製造所の製品回収(齟齬など)
18)富山県の別の製造所の製品回収と改善命令
19)無通告査察による結果(1箇所承認書齟齬/46)
20)石川県の製造所の改善命令
21)富山県の製造所への行政処分
22)秋田県の製造所のGMP不正
23)原薬輸入における海外製造所の承認書齟齬
24)京都府の生薬製造所のGMP不正&承認書齟齬でのその生薬を使った製剤の回収
25)北海道の製造所の事例から学ぶ
26)埼玉県の製造所の事例から学ぶ
27)富山県の原薬製造所の事例から学ぶ
28)富山県の製剤製造所の事例から学ぶ
29)紅麹サプリの健康被害から学ぶ
7.事前に対応を行った事例
1)注射剤製造ラインで水だけを充填し評価する
2)注射剤の不良率削減に取り組む(イタリア)
3)導入前に品質の問題点の把握と改善後に導入
4)技術移転により、慢性的な苦情が低減した事例
5)注射剤移管時の無菌性/オーバーキルの課題
6)表示資材のラインでの全数保証
7)包装工程のフェールセーフ機構導入
8.レギュレーション上の課題
1)新製品開発時のレギュレーション対応不備(海外の製造所/保管場所)
2)製造所との契約不備に伴う販売延期(米国)
3)海外の原薬製造所変更に伴う、品質トラブル(中国)
4)導入品の実際の製造方法と製造販売承認書の齟齬
5)新規申請の前に外国製造所認定に必要な資料提供の契約
6)原薬の出発物質や中間体のレギュレーション対応不備による製品回収
9.スムーズな技術移転のための方法例
1)設計部門から製造部門へ
2)製造場所の変更に伴う技術移転
3)レギュレーションの立場から品質保証部門の関わり
10.技術移転時注意点
1)試験法の技術移転時における具体的な手順、規格設定、バリデーションなど
・新規試験法の場合
・公定書記載試験方法の場合
・試験方法の移管(公定書、新規試験など)
・サイトバリデーション不備による製品回収事例
・サイトバリデーション項目と統計処理例
2)技術移転時の判定基準
・判定基準の設定について
3)同等性評価の仕方
・4液性での評価
4)製法変更・サイトチェンジ時の品質評価
・PVの実施、
・加速試験の実施/長期安定性試験の実施
・コンカレントでの評価
5)自動化や初回生産時の確認
11.技術移転後の品質保証
1)自社に技術者がいない場合
2)品質トラブルを防ぐための委託先とのコミュニケーション
3)品質トラブルの共有化の仕組み構築
12. 製販が委託先に期待すること
13.受託側の強みと信頼を得るために行うこと
14.人が創る品質/Quality Culture(FDA)
<質疑応答>
略歴
1979年4月 エーザイ (株)入社
検査部、人材企画室、生産物流本部、信頼性保証本部 品質保証部 統轄部長 品質保証責任者 (品責) を歴任
エーザイ(株)の品質管理/品質保証に30年勤務
2013年9月 退職 他2社の顧問を兼務、現在に至る