課題解決、品質向上、技術向上のセミナーならTH企画セミナーセンター

品質管理の実務に活かすための

電子機器における
市場クレームゼロに向けた技術とその体制づくりポイント
自動車電装品事例から得られるもの~【WEB受講可能】

会場受講WEB受講

品質保証体制,開発・設計分野への対応,部品分野への対応・技術と体制,工法・製造技術への取り組み,製造現場の管理などについて,国内外の豊富な経験に基づき,実践的に詳しく解説する特別セミナー!!

講師
技術コンサルタント 伊藤千秋 先生
オムロン株式会社 品質保証部長,部品技術部長等歴任後現職 制御機構部品の品質保証を15年,
自動車電装部品の品質保証23年経験,品質・信頼性一筋のプロフェッショナル この間,
日本科学技術連盟 信頼性開発技術研究会 委員長などを歴任
日時
会場

連合会館 (東京・お茶の水)

会場案内

Googlemapでの表示はこちら

受講料
(消費税等込み)1名:49,500円 同一セミナー同一企業同時複数人数申込みの場合 1名:44,000円
テキスト

受講概要

受講形式
会場・WEB

受講対象
クレーム処理技術者
故障解析技術者
試験技術者
設計並びに部品評価技術者
設計技術者
部品検査技術者
品質保証技術者 など

予備知識
特に必要なし

習得知識
1)品質保証の体制
2)開発・設計分野への対応・技術と体制
3)部品分野への対応・技術と体制
4)工法・製造技術への取り組み
5)製造現場の管理 など

講師の言葉
 市場でのクレームゼロは経営から与えられた究極目標であり、品質に携わる技術者の夢でもある。それを夢だからといって片つけるのでなく、クレームゼロに向けて一歩でも二歩でも歩み寄るための技術と体制とはなにかを突き詰め、その強化点を探っていくのがこの講座である。
 現実的に商品群や機種ごとに市場クレームを眺めてみた時に極めて安定したトラブルの少ない機種と逆にクレームが多くて手をこまねいている機種があるのもまた事実である。これを技術の高さ、ラインの安定度といい切ってしまうのでなく、そこにはいろいろな技術や仕組みが押し込められているという見方で物を眺めるといろんなことがわかってくる。
 まずいえるのは、市場クレームのゼロ化にむけては一つの技術や仕組みだけでは達成できない、合わせ技が必要だということである。
 次いで、最初を正しくすること、製品設計、工法、製造条件、部品選定を正しくすることである。ここをつまずくとこの問題を5年は引きずることになる。
 さらには、過去の失敗に学び、おなじことを繰り返さないことにある。新規の技術、製品はこうした面ではリスクが多く、安定期に入ってからの製品は品質が良くなってくる。少し見方を変えてみよう。
 うちの会社の市場クレームは部品不良が多くてという声をよく聞く。ユニットあるいはシステムになればなるほど多くの部品で構成されるのであるから、部品の故障が多いのは当たり前のことでこれはとりもなおさず深い技術の追求がされていないことと関係する。部品の故障は真の部品欠陥である場合もあるが、その部品を生かす条件で設計されていなかったり、その部品を製造する現場で劣化する原因を仕込んだりしていることのほうが多いものである。電子部品で問題になるのはろくすっぽ故障解析をせず、原因の究明もそこそこに「この故障は偶発故障です」「実績からみるとXXppmで多発することはない」。こんなメーカ回答は完全にあなたの会社の足元をみられている。
 加工部品では、現在では海外部品も多く、現場が見られないことと合わせて、あなたの会社の指導育成力がいま問われている。おなじようなものに、市場トラブルが再現できなくて異常なしと片つけられているものがある。市場では異常があったから戻ってきたわけであって、ただ再現することができなかっただけのことである。そう考えてみるとこれは会社の技術力を示すバロメータでもある。クレームは天が与えたもう贈り物である。我々の体制のほころびを教えてくれるものである。そういう意味でクレームは該当製品の生まれから育ちまでの間にかかわったすべての部門が関係し、そこでクレームの要因を仕込んでいることがのほうが多い。市場クレームは会社内全部門が自責、自罰の気持ちをもってみたら、課題は一つではなくいろんなところに転がっているものである。そういう意味で重大なクレームは解決後一定時期に、それ以外のクレームであっても年に一度は品質白書で自社の体制のほころびがどこに起こっているのか点検をかけないといけない。ISOではマネジメントレビューという形でこれが規定化されているが、ほとんどが自社の体制、システム、規定手順には問題がないという結論ありきで処理されている。

プログラム

1.基本的な考え方
 1-1 品質は事業リスクに直結する
 1-2 クレームは天からの下され給う贈り物
 1-3 クレームの種は商品の生まれ、育ち、旅立ちの中で仕込まれる
 1-4 最も弱い系の部品・部位から壊れる
 1-5 どんなロット不良も初めの一個から始まる
 1-6 クレームは変化点があることで起こる
 1-7 市場クレームのppmが多いのはその商品の安定度が悪い証
 1-8 部品のクレームが多いのは自社の解析能力がない証
 1-9 再発クレームが多いのは現場把握力と真因追求力がない証
 1-10 再現なしクレームのppmが多いのは自社の技術水準が低い証

2.品質保証の体制
 2-1 特性保証・機能保証・故障モード保証
 2-2 一般部品・重要保安部品
 2-3 物の質・体制の質・対応の質
 2-4 基本管理体制と特別管理体制

3.クレーム
 3-1 品質保証責任者
 3-2 トラブル重大度・故障モード致命度・社会的重大度
 3-3 事象を測る 表面分析・断面分析・組織分析・材料分析・シミュレーション解析
 3-4 ICチップから回路を読み取る
 3-5 原因の究明
 3-6 故障メカニズム解析
 3-7 ロットの範囲の限定
 3-8 市場故障発生数予測

4.開発・設計分野の対応の技術と体制
 4-1 コンカレント開発
 4-2 長寿命設計 最も弱い系をつかんで対策
 4-3 死にざま設計 車両というシステムでの故障モード評価と致命故障の対策
 4-3 マイコン周辺回路設計 クロック回路・リセット回路・マイコン内部回路の暴走対策
 4-5 耐ノイズ設計 電源ノイズ・負荷からのノイズ・制御入力からのノイズ対策
 4-6 耐熱設計 ガラス転移点・熱変形温度・耐熱温度・引火点 火を噴かせない
 4-7 耐結露設計 基板レジスト・コーティング・ポッティング
 4-8 応力設計 比例限界・弾性限界
 4-9 振動衝撃設計 衝撃は複数周波数成分の振動 共振点を外す対策
 4-10 設計FMEAで設計検証 発生度を切り下げる対策・検出度を上げる対策
 4-11 致命故障FTAで設計検証 シングルフェイラーポイントの対策
 4-12 設計回路の余裕度検証 回路ブロックごとの極値に対する余裕度検証
 4-13 実車試験による設計検証 車両というシステムでの実車検証
 4-14 デザインレビュー 設計思想と技術的根拠追求型の設計レビューへ

5.部品分野の対応の技術と体制
 5-1 電子部品・電気機構部品・加工部品のそれぞれの分野での基本的対応指針
 5-2 選定・評価・認定・育成
 5-3 当該部品のメーカの姿勢・体制・体質をみる
 5-4 当該部品の実力評価試験・構造解析・工程審査でみる
 5-5 当該部品を競合他社との比較でみる
 5-6 工法と材料物性をおさえることが信頼性確保の道
 5-7 寿命のある部品は寿命曲線をつかむ
 5-8 不安定な工法・技術の部品は採用しない
 5-9 コスト見積をしたラインでみる
 5-10 企業力評価とライン力評価のチェックリスト

6.工法・製造技術への取り組み
 6-1 はんだ実装工法・技術の変遷
      現在に引き継がれてない廃れた技術、現在も生き残っている技術からの学び
 6-2 実装設計
     はんだ合金の種類・組成
     はんだ特性に与える添加元素の影響
     フラックス種類・成分
 6-3 フローはんだ工法
     温度プロファイルの基本的な考え方
     はんだ融解・流動・凝固のメカニズム
     フローはんだの基本条件
 6-4 リフローはんだ工法
      温度プロファイルの基本的な考え方
      はんだ融解・流動・凝固のメカニズム
      リフローはんだの基本条件

7.スクリーニング・バーンイン
 7-1 バーンイン(ユニット)
    良品・欠陥をもった良品・故障品
    デバイスごとのm、ηから見た故障率曲線
    バーンインで除けるデバイスの欠陥の割合のシミュレーション
    基本条件
 7-2 高電圧負荷ランニング(電磁リレー)
    点吸引 異物が接点の接触点に集まる理論
    ワイピング
    異物の発生メカニズム
    異物除去法

8.製造現場の管理
 8-1 静電気
    帯電形態・帯電列
    静電気発生のメカニズム
    静電気対策材料
 8-2 アーク(バーストノイズ)
    プローブピンの接触信頼性
     インサーキットテストの条件
    ファンクションテストの条件
 8-3 アルミ電解コンデンサの再起電圧
 8-4 短絡・逆極性・耐圧の不良時の不良品処理規制
    短絡・逆極性・耐圧の不良に搭載されたデバイスの半破壊劣化
 8-5 ポカヨケ
    センシング
    警告表示・自動停止・自動供給
 8-6 異常管理
 8-7 変化に気づくことのできる職場

9.市場監視での対応の技術と体制
 9-1 品質コスト
 9-2 ワランティデータ

質疑応答

講師紹介
社歴   
昭和無線工業(現SMK):5年2ヶ月
トリオ(現JVCケンウッド):3ヶ月 
立石電機(現オムロン):38年7ヶ月
職歴    
スイッチ製造技術:3年2ヶ月
コネクタ製造技術:1年
圧着・ハーネス製造技術:2年 
アンプ・チューナ製造技術:3ヶ月
部品メーカ監査(加工部品):20年
             (電子部品・機構部品):25年
制御機構部品(リレー・スイッチ・タイマ・センサ)品質保証 :15年 
自動車電装部品(ECU・リレー・センサ・スイッチ)品質保証 :25年
最終職位    
品質保証部並びに部品技術部 部長
韓国オムロン電装 理事(役員)
上海欧姆龍控制電器 顧問
福達合金材料 顧問
学会活動     
日本信頼性学会会員:23年
日本信頼性学会企画委員(地域委員):2年
日本科学技術連盟講師:24年
日本科学技術連盟信頼性開発技術研究会 委員長:2年(1期)
日本科学技術連盟信頼性開発技術研究会 副委員長:4年(2期)