摩擦と潤滑の基礎,潤滑油の性質・種類,接触状態と潤滑性,摺動状態と潤滑性,
潤滑性向上対策について解説する特別セミナー!!
- 講師
名古屋工業大学大学院 工学研究科しくみ領域 教授 博士(工学) 糸魚川 文広 先生
- 日時
- 会場
- 受講料
- 1名:48,600円 同時複数人数申込みの場合 1名:43,200円
- テキスト
受講概要
予備知識
高等学校物理・化学,機械工学(材料力学,工業材料学,熱力学,流体力学の基礎(専門用語が分かる程度))
習得知識
1)トライボロジーの基礎 2)潤滑剤の選定 3)摩擦・摩耗の低減手法
講師の言葉
機械設計・開発,生産技術に携わる技術者の多くは,潤滑および潤滑油(剤)の重要性は認識していても,化学に対する苦手意識から, 潤滑油の選定を含む潤滑設計までを包含した機械システムとしての設計はなされていない場合が多い。潤滑性は摺動する部品の形状・ 強度設計のみでも決まらないし,潤滑油の性情だけからも決まらず,両者の相互作用により決まる。したがって機械設計において機能設計・ 強度設計と同時に潤滑設計が可能となれば,高い潤滑性を有する摺動要素設計が可能となる。 この講座では,先ず潤滑および潤滑油を理解するのに必要な高校化学程度の化学の知識と基礎力学を確認し,潤滑油の潤滑性能発現の メカニズムの基礎を概説する。その上で実際の機械摺動部品を想定した接触状態,接触形態が潤滑性に与える影響を基礎メカニズムから 理解します。これにより潤滑性に与える影響因子とその感度を見積もる能力が涵養されることが期待されます。
プログラム
0.潤滑および潤滑油の理解のための基礎の基礎 (1) 化学 a. 有機化学の基礎 b. 極性分子 c. 吸着 (2) 力学 a. 金属材料の変形と力学応答 b. 粘性流体 c. 統計力学・熱力学 1.摩擦と潤滑 (1) 固体摩擦の素過程 a. 表面と接触 b. 凝着と掘り起し c. 凝着理論(クーロン摩擦) (2) 潤滑 a. 境界潤滑の概念 b. 境界膜の存在とクーロン摩擦 c. 境界潤滑における摩擦の影響因子 (3) 流体潤滑 a. 流体潤滑の概念 b. 粘性 c. 流体潤滑の摩擦力(係数) 2.潤滑油(剤) (1) マクロな性質 a. 粘性係数 b. 流動性 c. 表面張力 (2) ミクロな性質 a. 油性 - 極性 b. 極圧性 - 反応性 c. 酸価 (3) 潤滑油の種類と組成 a. 鉱油・植物油 b. 合成油 c. 基油と添加剤 d. グリース 3.接触状態と潤滑性 (1) 接触状態の分類と潤滑性 a. 弾性接触 - Hertz接触 b. 塑性接触 (2) 接触形態の分類と潤滑性 a. 点接触 b. 線接触 c. 面接触 (3) 接触面と潤滑油供給 a. せん断による引き込み b. スクイーズ作用 c. 毛管浸透 d. 蒸気による浸透 (4) 接触面温度と潤滑性 a. 摩擦発熱と潤滑性 b. 摩擦発熱と摩耗 c. 摩擦発熱と潤滑油の劣化 4.摺動形態と潤滑性 (1) 往復摺動 a. 往復摺動における潤滑油の流れ b. 往復摺動速度と潤滑性 c. 往復摺動振幅と潤滑性 (2) 回転摺動 a. スラスト軸受の潤滑性 b. ラジアル軸受の潤滑性 (3) 転がり a. 転がり軸受の摩擦特性 b. 転がり滑りの摩擦特性 5.潤滑性向上の対策 (1) 接触状態の改善 a. 接触面圧の緩和の効果 b. 表面粗さの効果 c. 耐摩耗コーティング (2) 潤滑面の設計 a. 油溝の効果 b. なじみ性向上 c. 摺動長さと潤滑面の長さ (3) 潤滑油による改善 a. 潤滑油粘度 b. 潤滑油の粘度指数 c. 添加剤による潤滑性向上のメリット,デメリット
講師紹介
平成5年 名古屋工業大学大学院工学研究科博士後期課程修了 同 名古屋工業大学 助手 平成12年 名古屋工業大学 講師 平成15年 名古屋工業大学 准教授 所属学協会 機械学会,トライボロジー学会,精密工学会,電気加工学会 平成23〜24 トライボロジー学会理事 平成25〜 機械学会工作機械・生産加工部門運営委員